テニス肘の治療でステロイド注射はむしろ弊害になる

(2013年2月) "Journal of the American Medical Association" に掲載されたクイーンズランド大学(オーストラリア)の研究によると、上腕骨上顆炎(いわゆる「テニス肘」または「テニスエルボー」)の治療に用いられるステロイドの注射は、長期的には症状を悪化させるだけである可能性があります。

ステロイド注射を受けたグループよりも、偽のステロイド注射(プラシーボということでしょう)のみや、偽のステロイド注射と物理療法(温めたり冷やしたり、電気刺激を与えたりする治療法)を受けたグループの方が、1年後に完治している率が高く、再発も随分と少ないという結果だったのです。

これまでに行われた研究で既に今回の研究と同様の結果が出ていますが、それにも関わらずテニス肘に対してコルチゾンなどのステロイド注射を勧める医師は少なくありません。 ステロイドが短期的には痛みの軽減に有効だからです。

研究者は次のように述べています:
「今回の結果や、他の研究結果からして、ステロイド注射がテニス肘の主たる治療法足り得ないのは明らかです」

ステロイド注射以外のテニス肘の治療法としては、休養する・氷で冷やす・市販の痛み止めなどがあります。

研究の方法

今回の研究は18歳以上の成人165人を被験者として行われました。 これらの被験者たちは6週間を超えてテニス肘の症状が継続していました。

研究グループは、被験者たちを次の4つのグループに分けました: ①ステロイド注射のグループ、②ステロイド以外の何らかの液体を注射されたグループ、③ステロイド注射&物理療法(8週間にわたって(毎日?)30分間)のグループ、④ステロイドではない謎の液体注射&物理療法のグループ。

今回の研究に用いられたのは、コルチコステロイドというステロイドです。 このステロイドは炎症の軽減などの目的で医療に用いられもので、筋肉増強剤の作用がありスポーツ界で使用が禁止されているアナボリック(タンパク質同化)ステロイドとは異なります。
ステロイドではない謎の液体」の正体についてソース記事では触れていません。 単なる水でしょうか?
結果

治療開始後最初の4週間においては、ステロイドの注射を受けたグループの経過が良好でしたが、1年後の時点ではステロイドの注射を受けていないグループのほうが良好でした。 ④のグループでは全員が、および②のグループでは93%が完全に回復するか、あるいは随分と具合がよくなりましたが、①と③のグループでは、この割合は83%だったのです。

さらに、テニス肘の再発についても、①と③のステロイド・グループでは半数ほどが再発を訴えたのに対して、②のグループのテニス肘再発率は5%に過ぎず、④のグループでも20%に留まりました。

スポーツ医学の専門家は次のように述べています:
「ステロイド注射では痛みは取れるが故障が治っているわけではありません。 故障が治る前に運動を再開してしまうから、治り難かったり再発したりするのです」