急性テニス肘の2/3のケースは放っておいても1年以内に良くなる

(2015年9月) テニス肘は治療をしなくても症状が改善してゆくのが一般的ですが、放置していると最大で2年間ほども症状が残る人もいます。 そこで、理学療法やステロイド剤(コルチゾンなど)の注射などの治療が行われるわけですが、"BMC Musculoskeletal Disorders" に掲載されたオスロ大学の研究で、このような治療を行っても行わなくても急性のテニス肘が治る率は同じであるという結果になっています。

研究の方法
外側上顆炎と診断されてから2週間~3ヶ月が経過した18~70才のノルウェー人男女157人を次の3つのグループに分けました:
  1. 副腎皮質ステロイド2種類の注射と物理療法とを受けるグループ
  2. プラシーボ2種類の注射と理学療法とを受けるグループ
  3. 何も治療を受けないグループ
理学療法の内容は、深部横断マッサージ(DTFD)/ミルズ・マニピュレーション/ストレッチ/遠心性運動(*)でした。
(*) 筋肉の遠心性(伸張性)収縮を伴う運動。 遠心性収縮とは例えば、胸元にまで持ち上げたバーベルをゆっくりと下に下ろすときに生じる筋肉の動きのことです。 遠心性運動は、筋力の強化や筋肉の修復に効果があるとされています。

6段階評価において患者自身が「完全に治った」あるいは「症状が随分と改善した」と評価した場合を治療に成功したとみなしました。

結果

1~3いずれのグループにおいても、2/3の患者は1年以内に急性のテニス肘が治りました。

治療開始から6週間目においては、1のグループで治療に成功する率が3のグループの10.6倍でしたが、12週間目の時点で両グループの間の治療成功率に差はなくなり、26週間目の時点では治療成功率が逆転していました(1の成功率が3より91%低くなっていた)。

52週間目にかけて2のグループでも3のグループでも治療成功率が徐々に増加し、最終的には1~3の間に見られた治療性効率の差は消滅してしまいました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「理学療法、特に遠心性運動が効かなかったのは驚きです。 慢性的な症状については理学療法の効果が実証されていますが、今回の調査対象となった急性的なテニス肘は体組織や腱における変化を伴って慢性的な状態へと移行する感染症なのかもしれません。 今回の研究に採用した理学療法の種類の組み合わせに問題があったという可能性も考えられます」

「今回の主な結果は、急性テニス肘の患者の2/3が特に治療をしなくても1年で回復したという点です。 急性テニス肘の症状を至急に回復する必要がある場合にはコルチゾン注射と理学療法を組み合わせるのが有効でしょうが、回復後しばらくしてから一時的に症状が悪化することでしょう」