テストステロン(男性ホルモン)不足が肥満の原因

(2013年2月) Bayer Pharma(ドイツ)の研究グループが、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量が少ない男性に代替ホルモンを注射すると何年間にもわたって体重が継続的に減り続けたというケースを昨年6月に開催された欧州内分泌学会(The Endocrine Society's 94th Annual Meeting)報告しています。

試験開始の時点で、ほぼ全員が体重が平均以上または肥満でした。 この実験により被験者が減らせた体重は、平均で36ポンド(16キロ程度)。

試験期間中も、被験者たちの食事に変わりはなく、運動量も(被験者が自主的に増やした運動量を除いて)そのままなのに、ホルモンの投与だけで年々体重が減り続けたということです。

試験の詳細

テストステロンが不足している男性255人に、5年間にわたって3ヶ月おきにテストステロンの代替となるホルモンを投与したところ、255人のうちの97%で体重(特にウェスト)の大幅な減少が見られました。 平均で236ポンド(106キロくらい)だった体重が200ポンド(90キロくらい)にまで減ったのです。 年に4回のテストステロン注射で13%ほども体重が減ったということになります。

テストステロンは、分泌量が多いと前立腺ガンのリスクが増えるし(代替ホルモンを)摂取しすぎると躁状態になりますが、この試験では、分泌量が不足しているのを補う程度にのみテストステロン代替ホルモンを投与しました。

解説

脂肪組織は、コルチゾールの前駆体であるコルチゾンなどの化学物質の分泌を引き起こしますが、これらの化学物質によってテストステロンの生産が抑えられてしまうことが、これまでの研究でわかっています。 そして、テストステロンが不足すると、憂鬱になり活発さが失われます(運動量が減るために太るということでしょうか)。 つまり、太るとテストステロンが減少し、テストステロンが減少すると更に太るという悪循環が存在するのです。

テストステロンは30代から減少し始めますが、70代でもテストステロンの分泌量を維持している男性もいますし、女性のエストロゲンと違って、加齢が減少の主な原因というわけではありません。 加齢よりも、肥満、糖尿病、鬱病などでテストステロンの分泌量は大幅に減少します。 1,384人の男性を被験者として行われた実験では、鬱がテストステロン分泌量の減少に与える影響は加齢の三倍という結果になっています。

女性の体内でもテストステロンは生成されます(男性の1/20程度)が、今回の研究は男性のみを対象に行われたものであるため、女性のダイエットにテストステロンが有効であることを示唆するものではありません。