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妊娠後期に仰向けで眠りに就くと死産のリスクが増加する恐れ

(2017年6月) "Plos One" に掲載されたニュージーランドの研究によると、妊娠後期に仰向けで眠りに就くと死産のリスクが増加する恐れがあります。

死産とは

死産(⇔流産)とは、胎児が子宮外での生活能力を獲得する時期に達する妊娠20週目(日本の定義では22週目)より後に胎児が失われることを言います。 死産の主な原因は胎児の先天異常・発育不全・胎盤の異常です。 喫煙や高血圧が死産のリスク要因です。

研究の方法

単胎児(双子や3つ子ではない)を妊娠している妊娠28週目以降に先天性奇形が生じていないのに死産となった164人の女性と順調に妊娠を継続している女性569人(*)に、前日の夜(†)および過去1週間における就寝時の姿勢(‡)について尋ねました。

(*) 死産となった164人と地域および妊娠週齢において釣り合うように選出された。

(†) 死産となった女性では、死産が生じたと思われる日の前夜。 妊娠継続中の女性では、聞き取り調査を行った日の前夜。

(‡) 睡眠中に無意識のうちに姿勢が変わるかどうかは考慮せず、布団に入って「さあ眠ろう」というときに自分が意識的に取る姿勢だけを尋ねたのでしょう。 原文では "going-to-sleep-position(眠ろうとするときの姿勢)" という表現が使われています。
就寝時の姿勢は次のように分類されました:
  • 仰向け
  • 体の左側を下にする
  • 体の右側を下にする
  • 大きな枕などを用いて上半身を少し上げた状態にする
  • 落ち着かない(寝付けずに体を動かしていて、最終的にどの姿勢で寝たのか不明)

結果

前夜に仰向けで就寝した場合には、就寝時に体の左側を下にしていた場合に比べて、死産のリスクが3.7倍弱に増加していました。 過去1週間における就寝時の姿勢に関しても、ほど同様の数字でした。

妊娠週齢が28~36週目の場合と妊娠週齢が37週目以降の場合とに分けて分析したところ、妊娠週齢が37週目以降の場合にのみ仰向けの姿勢により死産のリスクが本格的に増加していました:
  • 28~36週目の場合には、前夜に仰向けで就寝したときの死産リスク増加幅が3.1倍で統計学的な有意性も微妙(95%CI: 0.97~10.05)でした(過去1週間の就寝時の姿勢でも同様)。
  • 妊娠37週目以降の場合には、前夜に仰向けで就寝したときには体の左側を下にして就寝したときに比べて、死産のリスクが10倍超でした(過去1週間の就寝時の姿勢でも同様)。

研究チームの計算によると、妊娠27週目以降の妊婦が仰向けで就寝しないようになれば死産のリスクが9%ほど減少します。

類似研究

  • "Obstetrics & Gynecology" 誌(2015年)に掲載された研究でも、妊娠31週目以降に死産を経験した女性103人と妊娠27週目以降の妊婦192人を対象に聞き取り調査を行って、妊娠中に仰向けで眠っていた人の割合が、死産になっていない女性では2%に過ぎないのに対して、死産を経験した女性では10%ほどであるという結果になっています。

  • "Journal of Physiology"(2017年)に掲載されたオークランド大学の研究では妊娠34~38週目の女性30人(母子ともに健康)を調査して、妊娠後期に仰向けで眠ると胎児が不活発になることを明らかにしています。 胎児の活発さは胎児の健康の目安の1つです。

    体の左側あるいは右側を下にして眠る場合には胎児が活発でした。 眠り始めに身体の左側あるいは右側を下にして眠り始めても、睡眠中に仰向けになると胎児はすぐに不活発になりました。 胎児の健康状態に問題がある場合には、仰向けの睡眠に胎児が耐えきれずに死産となってしまうのかもしれません。 この研究の研究チームも、妊娠後期には仰向けの姿勢で眠らないことを推奨しています。