てんかん対策としてのケトン食はアミノ酸のバランスに配慮すると効果を発揮しやすいかも

(2018年3月) "Journal of Nutrition" に掲載されたカリフォルニア大学の研究によると、必須アミノ酸の不足により癲癇(てんかん)の発作が生じやすくなったり症状が悪化したりする恐れがあります。

ケトン食とは

ケトン食とは、糖質とタンパク質の含有量が少なく、その分だけ脂肪分が多い食事のことです。 ケトン食によりブドウ糖が不足した肉体は、体脂肪からβヒドロキシ酪酸というケトン体を作り出し、それを代替的なエネルギー源として用いるようになります。

ケトン食はガンや癲癇(てんかん)などの治療への利用が期待されていますが、ケトン食はタンパク質(体内でアミノ酸に分解される)が少ないために必須アミノ酸が不足しかねません。

癲癇の発生源となる梨状葉皮質前部(APC)は必須アミノ酸の不足により興奮するため、ケトン食で必須アミノ酸が不足していると癲癇が悪化する恐れがあります。

研究の方法

ラット(オス)やスナネズミ(オスとメス)を用いた6つの実験を行いました。 実験では、ラットやスナネズミに普通のエサやケトン食やスレオニン(必須アミノ酸の一種。「トレオニン」とも呼ばれる)が欠乏したエサを1週間以上にわたり与え続けました。

そして、こうした齧歯類に化学的あるいは電気的な手段により癲癇を人為的に引き起こして、与えたエサの種類と癲癇の起こりやすさや重症度との関係を調べました。

さらに、スレオニンが欠乏したエサを与えたラットにおける遺伝子の発現(遺伝子のスイッチのオン/オフ)を調べたり、APCから放出されるグルタミン酸の量をマイクロダイアリシス法により調べたりしました。

結果

主な結果は次の通りです:
  1. スレオニンが欠乏したエサを7日間与えたラット(成体)は普通のエサを与えたラットに比べて、化学的な刺激でも電気的な刺激でも癲癇の発作が生じやすかった。
  2. 癲癇発作が生じやすい遺伝子を持つスナネズミを用いた実験において、ケトン食により癲癇発作の発生回数が減ったが、ケトン食からスレオニンを除去したエサを1回与えただけで、普通のエサを与えた場合よりも癲癇が悪化した。
  3. キンドリング・モデルにおいて、ケトン食からスレオニンを除去したエサを与えられたラットは普通のエサを与えられたラットに比べて、癲癇発作の発生回数が多く症状もひどかった。
  4. スレオニンが欠乏したエサにより癲癇発作が生じやすくなることは、遺伝子の発現やグルタミンの放出量により裏付けられた。

結論

齧歯類を用いた実験において、癲癇発作がケトン食により軽減されるがスレオニンの欠乏により悪化することが確認されました。

ケトン食を行うときには必須アミノ酸のバランスにも配慮することでケトン食が効果を発揮しやすくなることが期待できます。

スレオニンについて

必須アミノ酸の代表としてスレオニンが選ばれた理由はわからずじまいです。 今回の研究者が過去に行ったラット実験では、スレオニンと同様に必須アミノ酸の一種であるヒスチジンやイソロイシンが欠乏している場合にも癲癇発作が起こりやすく重症度も増すことが示されています。

Wikipedia によると、スレオニンはカッテージチーズ・鶏肉・魚・肉・レンズマメに豊富に含まれています。