甲状腺疾患の患者に生じる体温異常の理由が明らかに

(2013年9月) 甲状腺機能亢進症では暑さを、そして甲状腺機能低下症では逆に寒気を感じることがあり、これまでその原因は甲状腺ホルモンが細胞の代謝に影響するためであると考えられてきました。

しかし、"Proceedings of the National Academy of Sciences" に掲載されたスェーデンの研究によると、その原因は甲状腺ホルモンが血管を介して体温に影響しているためであると思われます。 甲状腺に異常のある人では、甲状腺ホルモンが血管拡張の程度に影響するために、体から逃げる熱の量に異常が生じていたのです。

研究の内容

この研究では、甲状腺ホルモン受容体に欠陥のあるマウスを用いた実験を行いました。 甲状腺ホルモン受容体に欠陥のあるマウスでは、欠陥の平滑筋などの組織で甲状腺機能が低下します。

過去の研究により、このようなマウスで代謝が過剰になることが示されています。 代謝が過剰になるのは褐色脂肪から熱を生産するのにエネルギーが必要となるためですが、甲状腺機能が損なわれたマウスで代謝が過剰になるのが(代謝は甲状腺ホルモンによって促進されるから?)矛盾点でした。
褐色脂肪には脂肪や糖を燃焼させて熱を作り出す作用があります。(参考記事: 寒いと白色脂肪が褐色脂肪に変わりカロリーを消費する

今回の研究で、これらのマウスを赤外線撮影したところ、尻尾から大量の熱が逃げていることがわかりました。 この発見に基づき研究グループは、甲状腺ホルモン受容体に欠陥のあるマウスが欠陥を適切に収縮させ(て体温が逃げないようにす)ることが出来ないのだと結論付けました。

研究者のコメント
研究者は次のように述べています:
「これらのマウスは、室温のときに尻尾に流れる血液の量を適切に調整できておらず、そのために体から熱が逃げていました。 この熱の消失を補うために、褐色脂肪による熱の生産が行われていたのです。 甲状腺機能が低下している人が寒気を感じるのも同じ理由ではないでしょうか」