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脳脊髄液中にもTMAOが存在する。 しかし認知症とは無関係?

(2017年9月) "Nutrients" 誌に掲載された研究により、トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)が脳脊髄液(脳が浸かっている体液)にも含有されることが明らかになりました。

TMAOとは

赤身肉・海産物・卵・乳製品などの動物性食品(*)を食べると、そうした食品に含まれているカルニチンやコリンなど(†)から腸内細菌(‡)がトリメチルアミン(TMA)という物質を作り出します。

(*) 赤身肉は多量のカルニチンを含有しますが、赤身肉よりも海産物のほうがTMAの発生量が多いというデータもあります。

(†) ベタイン、レシチン、クレアチニンからもTAMAが作られますが、生産量は多くありません。

(‡) TMAを生産するのは、主としてファーミキューテス門とプロテオバクテリア門の腸内細菌です。

そうして作られたTMAがフラビン含有モノオキシゲナーゼ3(FMO3)という肝臓の酵素によって変換されて生じるのがTMAOです。 腸内細菌もTMAからTMAOを作り出します。 逆にTMAOからTMAを作り出す腸内細菌もいます。

これまでの研究で、TMAOの血中濃度が高い人は心臓・血管・腎臓の病気になりやすいことが示されていますが、TMAOが中央神経系にまで影響するというエビデンスはこれまでに示されていません。

今回の研究

方法

58人の患者から検査の一貫として採取した脳脊髄液のサンプルを検査しました。

結果

すべてのサンプルからTMAOが検出されました。 TMAOの濃度は0.11~6.43μmol/Lでした。

58人のうち22人がアルツハイマー病、16人がアルツハイマー病以外の認知症、20人が認知症以外の神経障害であることが判明しましたが、この3つのグループ間で脳脊髄液中のTMAO濃度に差は見られませんでした。

解説

今回の研究により脳脊髄液にもTMAOが存在することがわかりましたが、それが中央神経系にどのような影響をもたらすのかは現時点では不明です。 血中のTMAOが血液脳関門(血液と脳の組織液との間の物質交換を制限する機構)を超えて脳脊髄液中に入りこんだのではなくTMAOが中央神経系において新たに作られている可能性も否定できません。