赤身肉・卵・乳製品を食べると生じるTMAOで腎疾患のリスクも増加

(2015年1月) "Circulation Research" 誌オンライン版に掲載されたクリーブランド・クリニック(米国)の研究によると、赤身の肉に多量に含まれるカルニチンや、卵・乳製品に多く含まれるコリンが消化されるときに生じるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)という物質が慢性腎疾患に関与していると思われます。

他の研究では、TMAOが心臓や血管の健康に悪影響をもたらすことが示されています。

慢性腎疾患は腎機能が徐々に衰えていく病気で、症状が進行すると血液中から老廃物が除去されないようになり、放置していると命にも関わります。 慢性腎疾患の患者では心血管疾患(心臓病や脳卒中)のリスクが増加することが知られていますが、慢性腎疾患と心血管疾患とがどのように関係しているのか明確にはわかっていません。 今回の結果によると、TMAOが両疾患をつなぐリンクかもしれません。

研究の内容
今回の研究では、ヒトを対象とする研究と動物実験を行いました。
  1. ヒトの研究
    慢性腎疾患の患者521人と慢性腎疾患ではない男女 3,166人の空腹時TMAO血中量を検査したうえで、5年間にわたって追跡調査しました。 その結果は次のようなものでした:
    • 慢性腎疾患患者のグループはTMAOの血中量が多かった。
    • TMAO血中量が多いと心臓疾患のリスクが増加していた。
    • 慢性腎疾患でない人のグループでは、TMAOの血中量が多いと慢性腎疾患になるリスクが長期的に増加していた。
    • どちらのグループでも、TMAOの血中量が多いと死亡率が高かった。
  2. 動物実験

    動物(たぶんマウス)にコリンとTMAOが含まれるエサを長期的に食べさせるという実験では、慢性腎疾患の発症リスクと進行リスクが増加するという結果になりました。

    研究者は次のように述べています:
    「動物実験では、長期間にわたって大量のTMAOを投与することによって腎機能の低下とアテローム性動脈硬化が促進されることが示されました。 そうして腎機能が損なわれた動物では、TMAOが体外に排除され難くなるためにTMAOの血中量がさらに増加して、心血管疾患と腎疾患のリスクがさらに増えていました」
食事内容の変更(赤身肉・卵・乳製品の制限)によって慢性腎疾患や心血管疾患の進行を抑制できるか否かについては今後の研究で確認する必要があります。