TMAO血中濃度と2型糖尿病のリスクの関係

(2017年7月) "American Journal of Clinical Nutrition" に掲載された華中科技大学(中国)の研究で、トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)の血中濃度が高い人は2型糖尿病のリスクが高いという結果になりました。

TMAOについて

赤身肉・海産物・卵・乳製品などの動物性食品(*)を食べると、そうした食品に含まれているカルニチンやコリンなど(†)から腸内細菌(‡)がトリメチルアミン(TMA)という物質を作り出します。

(*) 赤身肉は多量のカルニチンを含有しますが、赤身肉よりも海産物のほうがTMAの発生量が多いというデータもあります。

(†) ベタイン、レシチン、クレアチニンからもTAMAが作られますが、生産量は多くありません。

(‡) TMAを生産するのは、主としてファーミキューテス門とプロテオバクテリア門の腸内細菌です。

そうして作られたTMAがフラビン含有モノオキシゲナーゼ3(FMO3)という肝臓の酵素によって変換されて生じるのがTMAOです。 腸内細菌もTMAからTMAOを作り出します。 逆にTMAOからTMAを作り出す腸内細菌もいます。

これまでの研究で、TMAOの血中濃度が高い人は心臓・血管・腎臓の病気になりやすいことが示されています。 赤身肉の摂取量が多い人が心臓病や脳卒中になりやすいのもTMAOのせいかもしれませんが、TMAOそれ自体が健康に悪影響をおよぼすのか、それともTMAOが何か他の有害なモノの程度を表す目安でしかないのかは不明確です。

研究の方法

2型糖尿病と診断された患者 1,346人と2型糖尿病ではない 1,348人とで、TMAOの血中濃度を比較しました。 また、FMO3酵素を作り出す遺伝子のタイプと2型糖尿病のリスクとの関係についても調べました。

結果

TMAO血中濃度の中央値が、2型糖尿病ではないグループでは1.47/μmol/Lであったのに対して、2型糖尿病のグループでは1.77/μmol/Lでした。 TMAO血中濃度に応じてデータを4つのグループに分けて比較したところ、TMAO血中濃度が最低のグループに比べて、2型糖尿病のリスクが次のように増加していました:

  • 血中濃度が下から2番目のグループ: +38%
  • 血中濃度が上から2番目のグループ: +64%
  • 血中濃度が最高のグループ: +155%

遺伝子のタイプ

FMO3遺伝子のタイプ(タイプによってはFMO3酵素の能力が低下する)であるかどうかと2型糖尿病のリスクの間には関係が見られませんでした。 FMO3遺伝子のタイプに関わらず、TMAO血中濃度が高いと2型糖尿病のリスクが増加していました。