喫煙による脳へのダメージは禁煙後にゆっくりと回復してゆく

(2015年2月) これまでに行われた多数の研究により、喫煙によって脳がダメージを受け認知症のリスクが増加することが示されていますが、"Molecular Psychiatry" 誌に掲載されたマギル大学(カナダ)などの研究によると、喫煙が大脳皮質(脳の外層部)にもたらすダメージは禁煙後に回復する可能性があります。 ただし回復には20年以上を要すると思われます。

研究の方法

この研究では、Scottish Mental Survey という研究の一環として 1947年に認知能力テストを受けた小中高生504人(504人のあいだでテスト結果に大きな違いはなかった)の脳を、2007年にMRIで検査しました。 2007年の時点での平均年齢73才で、男女の数は同程度でした。

504人のうち、過去に喫煙習慣があった人は223人、現役の喫煙者は36人、喫煙歴が無い人は245人でした。

結果

MRI検査の結果、現役喫煙者のグループは喫煙歴が無いグループに比べて、大脳皮質の厚みが薄い傾向にありました。 大脳皮質の薄さは認知機能の老化の指標です。

過去に喫煙歴があったグループは、喫煙量の平均が1日1パックで、喫煙歴が平均で30年間というものでしたが、このグループにおいて25年ほど禁煙していた人は大脳皮質の厚みが喫煙歴の無いグループと同程度になっていました。 ただしヘビースモーカーであった人は、25年超禁煙を続けて73才になっても未だに大脳皮質の厚みが回復していませんでした。

研究チームによると、非喫煙者であっても加齢と共に大脳皮質の厚みが薄くなっていく中で禁煙によって大脳皮質の厚みが回復するメカニズムとしては次の2つが考えられます:

  • 大脳皮質が薄くなるペースが禁煙によって通常以上に鈍化する。
  • 禁煙によって大脳皮質が厚みを増し始める。