野菜・果物の摂取量と日本人の握力の関係。トマトでのみ...

(2018年4月) "Journal of Epidemiology" に掲載された東北大学などの研究で、各種の野菜・果物の中でもトマトをよく食べる人は老化に伴う握力の低下が少ないという結果になりました。

握力は全身的な筋力の指標として用いられます。 これまでの研究で、握力が弱い人は死亡リスクが高いことや不健康であることが示されています。

研究の方法

仙台に住む22~68才の男女259人(女性は58人)を対象に、アンケート調査で野菜・果物を食べる頻度を尋ねるとともに握力を測定しました。 そして、それから3年後に再び握力を測定しました。

データの分析においては、年齢・性別・生活習慣・健康状態・野菜/果物摂取量以外の食生活を考慮しました。

結果

野菜・果物を9つのカテゴリー(*)に分けてそれぞれに分析したところ、トマトおよびトマト製品についてのみ、摂取頻度が高いと3年間における握力の低下幅が小さいという結果でした。
(*) トマト/トマト製品のほか、青葉野菜、キャベツ/白菜、人参/かぼちゃ、大根/カブ、玉ねぎ/ごぼう/レンコン、柑橘系果実、イチゴ/柿/キウィ、リンゴ/バナナ。
トマトを食べる頻度と3年間における握力低下との関係は次のようなものでした(カッコ内は平均摂取量):
  • 週に1回未満(3.6g/日): -3.2kg
  • 週に1回(11.3g/日): -2.7kg
  • 週に2~3回(27.5g/日): -1.6kg
  • 週に4回以上(64.6g/日): -1.7kg

解説

研究グループによると、トマトをよく食べる人で握力が低下しにくかったのはトマトに含まれる抗酸化物質のお蔭かもしれません。

筋力の低下には酸化ストレス(体内の抗酸化能力を活性酸素種のパワーが上回った状態)が関与していると考えられますが、トマトにはリコピンという強力な抗酸化物質が豊富に含まれています。 食品から摂取されるリコピンの85%超がトマトに由来するというデータがあります。

トマトは他の野菜と違って生で食べることが多いというのも、トマトでのみ摂取量が多いと筋力が低下しにくいという関係が見られた理由の1つかもしれません。 加熱調理により食品に備わる抗酸化能力が低下したり、調理の過程において食品中に含有される抗酸化物質が水や油に流出したりしてしまうと考えられます。

ビタミンCやカロテノイド類などの抗酸化物質は果物にも豊富に含有されていますが、今回の研究で果物と握力低下とのあいだに関係が見られなかったのは、果物の摂取量がおしなべて少なかったためかもしれません。 果物の摂取量が少ないのは果物の値段が高いせいでしょう。