東日本大震災で津波被害に遭った高齢者で認知症が増加

(2016年10月) "PNAS" 誌に掲載されたハーバード大学などの研究により、2011年の東日本大震災で生じた津波の被害に遭って仮設住宅への転居を余儀なくされ、慣れ親しんだ近所の人たちとの交流を絶たれた高齢者に認知症が増加していることが明らかになりました。

研究の方法
宮城県岩沼市(*)に住む65才以上の高齢者 3,566人を対象に、震災の2年半後に認知症の症状の有無などを調べたデータを分析しました。 この高齢者たちは、震災が起きる7ヶ月前にたまたま健康状態に関する調査の対象となっていたので、そのときに得たデータを震災から2年半後のデータと照らし合わせました。
(*) 東日本大震災のとき、岩沼市は土地面積の半分近くで津波被害が生じました。
結果

3,566人の高齢者のうち、震災で親族および/または友人を亡くしたのは38%、家屋に損害を受けたのは59%でした。

震災の7ヶ月前に行われた調査では4.1%に認知症の症状が見られましたが、震災後の調査では、この数字が11.5%へと跳ね上がっていました。

認知機能の低下は、震災による家屋への被害が甚大で仮設住宅への転居を余儀なくされた高齢者で最も高率となっていました。 親族・友人を亡くしたかどうかは、認知機能の低下に影響していないように見受けられました。
脳卒中の罹患率も2.8%から6.5%へと増加していました。