(2017年7月) これまでに複数の研究で、テレビを観る時間が長いと死亡リスク(死因は問わない)が増加することが示されていますが、"American Journal of Public Health" に掲載された四川大学(中国)などの研究で、テレビ視聴時間が長い人は細胞の老化の指標であるテロメアが短いという結果になっています。
研究の方法
中国に住む20~70才の男女518人のテレビ視聴時間やテロメアの長さなどを調べました。
結果
テレビ視聴時間が長いとテロメアが短いという関係が見られました。 テレビ視聴時間とテロメアの長さの関係が明確だった20~40才の人たちに限ると、テレビ視聴時間が最も短いグループに比べて最も長いグループ(*)は、テロメアが4%短くなっていました。
(*) テレビ視聴時間に応じてデータを3つのグループに分けた。
テロメアとは
テロメアは、染色体の両端に存在して、染色体同士が癒着したり変質したり(ガンの原因になる)しないように保護している部分のことです。 染色体が靴紐であるとすれば、テロメアは靴紐の先端のキャップに該当します。
テロメアは細胞が分裂するたびに(つまり老化により)短くなってゆき、テロメアが失われた染色体は不安定になります。 通常はテロメアが一定以下の長さになった時点で「細胞老化」により細胞が破壊されますが、このような破壊を免れた細胞はガン化します。
老化の指標
細胞が分裂するたびに短くなっていくというテロメアの性質のために、テロメアは肉体の老化度を知るための指標として用いられます。
テロメアが短くなる要因
喫煙・肥満・劣悪な食事・過度の飲酒・心理的ストレス・酸化ストレス・慢性炎症によってテロメアが短くなるペースが速まることが複数の研究で示されているほか、ガン・心血管疾患・認知症・肥満・脳卒中・骨粗鬆症・感染症・糖尿病・高血圧などの病気や体質(遺伝子のタイプ)によってもテロメアは短くなります。