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外国語でなくてもいい。標準語に加えて方言を使えるだけで脳力アップ

(2016年4月) 2つの言語を使いこなすバイリンガルの子供が認知能力(*)的に有利であることが知られていますが、"Cognition" 誌に掲載されたケンブリッジ大学などの研究によると、2つの言語ではなく2つの方言を使いこなすのであっても認知能力において同程度に有利です。
(*) 記憶力・注意力・認知柔軟性など。 認知柔軟性とは、状況の変化に適応したり、複数の作業間の切り替えを効率的に行ったりする能力のことです。
研究の方法
社会経済的状態(収入・職業・学歴など)・言語能力・全般的な知能・などを考慮しつつ、次の3つのグループで認知能力を比較しました:
  • ギリシャ語の2つの方言を話す子供64人
  • 複数の言語を話す子供47人
  • 1つの言語を1つの方言だけで話す子供25人
結果

2つの方言を話すグループと複数の言語を話すグループ共に、1つの言語を1つの方言だけで話すグループよりも認知能力が優れていました。

解説
メカニズム

2つの方言を使うことで2つの言語を使うのと同様に脳が刺激されるために、方言であっても認知能力が向上するのだと思われます。

必要とされる方言の程度

ある地域で話されている言葉が1つの独立した言語なのか、それとも方言なのかを決定する厳密な基準は存在しません。 独立した言語とみなされるか方言とみなされるかは、おそらく文化的・政治的な要因にも左右されるのでしょう。

そこで気になるのが、今回の結果が日本の方言にも当てはまるのか、それとも英語とウェールズ語あるいはスペイン語とカタルーニャ語の間に見られるほどに大きな言語的差異がなくては認知能力への効果は得られないのかです。

今回の研究で用いられたギリシャ語の2つの方言は、語彙・発音・文法の全てにおいて違いがあったとのことです。 関西弁や九州弁などの日本の方言の語彙や発音は、明らかに標準語と異なります。 しかし、文法についてはどうでしょうか?

文法の違いといってもその程度はピンからキリまであり、今回の研究に用いられたギリシャ語の2つの方言で文法にどの程度の差異があったのかは不明ですが、滋賀大学のパンフレットによると関西弁と標準語との間にも相当の文法的な違いがあるようです。

さらに、プレスリリースでは方言の例として、黒人英語や20世紀後半になって出現した「多文化ロンドン英語(Multicultural London English)」なども挙げられているので、関西弁・九州弁・東北弁などのように標準語とあまり違わない(日本の他の地域に住む人でも一応理解できる)方言であっても認知能力に有益かもしれません。