閲覧以外でのコンテンツの利用をお考えの方は引用・転載をするときのルールをご確認ください。
Copyright (c)2013-2017 最新健康ニュース All Rights Reserved.

2型糖尿病が人から人へと伝染する恐れ?

(2017年8月) "Journal of Experimental Medicine" に掲載されたテキサス大学の研究によると、2型糖尿病が狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン病と同じようなメカニズムで伝染する恐れがあるかもしれません。

2型糖尿病とミスフォールドたんぱく質

2型糖尿病患者の90%以上では、膵臓(すいぞう)に存在するランゲルハンス島に、アミリン(*)がミスフォールドされた(誤って折り畳まれた)凝集物を主成分とする異常なタンパク質が蓄積しています。
(*) 膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)。 インスリンと同じようにβ細胞から分泌され、血糖値の急激な上昇を抑制する。

ミスフォールドされたタンパク質は、正常なタンパク質にミスフォールドを引き起こしてミスフォールドたんぱく質の大きな凝集物を作り出し細胞を傷つけます。 2型糖尿病の場合には、β細胞が傷つけられます。

プリオン病では、ミスフォールドたんぱく質が1つの生物から別の生物へと感染することがあります。 プリオンに汚染された飼料を介して家畜やペットが狂牛病になると考えられていますし、クロイツフェルト・ヤコブ病の原因が狂牛病に感染した牛肉を食べたこと(プリオンは加熱調理しても残る)である可能性もあります。 2015年に発表された研究では、土壌中に存在するプリオンが植物に吸収され、その植物を食べた動物がブリオン病になることが示されています。

研究の方法

ヒトのアミリンを生産するように遺伝子改造したマウスにミスフォールドされたアミリンを少量だけ注射したところ、膵臓にミスフォールドたんぱく質の凝集物が形成され、β細胞の減少や血糖値の上昇など2型糖尿病に見られる症状が生じました。

健康なヒトやマウスから採取したランゲルハンス島の組織を培養したサンプルでも、少量のミスフォールド・アミリンがミスフォールドたんぱく質の凝集を促進することが確認されました。

解説

今回の研究では、ミスフォールドされたアミリンがプリオンと同様の感染性を発揮して生体に異常を引き起こすことが示されました。 臓器移植を受けたのちに2型糖尿病を発症したという報告もありますが、今回の結果をもって直ちに「2型糖尿病が人から人へ伝染する」と言うことはできません。 今後の研究でさらに調査を続ける必要があります。

研究者によると今回の結果は、人から人への伝染よりもむしろ、2型糖尿病の発症におけるプリオン的なメカニズムの関与という点において重要です。