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5,000m級の高山では無意識のうちに息を止めるだけで不整脈になる恐れ

(2018年4月) "Journal of Applied Physiology" に掲載されたアルバータ大学(カナダ)の研究によると、標高5千メートルという非常に高い場所では無意識のうちに息を止めるだけで不整脈のリスクが増加します。出典: Unconscious breath holding at high altitude can cause acute heart conditions for climbers

研究者は次のように述べています:
「人はだれしも無意識のうちに息を止めていることがあります。エベレスト山のように不整脈が生じやすい環境においては、無意識のうちに息を止めるだけでも健康に悪影響が生じかねません」

研究の方法

平地に住む14人とシェルパ8人の心拍を、平地と 5,050mの高地で調べました。 シェルパはヒマラヤに住む民族で、5千メートル級の高山に適応しています。

結果

普段は平地に住んでいる人たちは、5千メートルの高地で何日かを過ごした後にも、高地で息を止めると不整脈が生じました。 シェルパは高地で息を止めても不整脈が生じませんでした。高地での活動に適応するように進化してきた結果なのでしょう。

普段は平地に住んでいる人たちであっても酸素を補給すると、高地で息を止めても不整脈は生じませんでした。

解説

研究者によると、高地で息を止めて不整脈が生じるのは交感神経系から送られるシグナル(神経を高ぶらせる)と副交感神経系から送られるシグナル(神経を休ませる)とが矛盾するためです。

平地では、交感神経と副交感神経とが心臓に及ぼす作用が噛み合っています。 一方が活発になれば、もう一方が不活発になるという具合です。 これによって心臓は様々なストレスに対応しています。

息を止めるというのは交感神経と副交感神経の両方が活発になる珍しいタイプのストレスです。 研究者は、交感神経と副交感神経の衝突を引き起こすのは末梢化学受容体と呼ばれ血中の化学的な変化を監視するという役割を持つ特殊な細胞群だと考えています。 高地で血中の酸素が不足するのも化学的な変化にあたります。