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日光浴や日焼けマシンで脳内麻薬が分泌される

(2014年6月) "Cell" 誌に掲載された Massachusetts General Hospital の研究によると、紫外線にタバコや麻薬と同じような習慣性があるかもしれません。 紫外線による皮膚ガンの危険性が指摘されているのに日焼けマシンや日光浴をする人が絶えないのも、紫外線の習慣性が原因ではないかというのです。

研究の概要
マウス実験において、慢性的に紫外線に当たるとβエンドルフィン(*)の血中量が増加することが明らかになりました。 さらに、紫外線への習慣性ができたマウスでは、βエンドルフィンが遮断(無効化)されたときに禁断症状を起こしました。
(*) 痛みの感覚を遮断する作用をもつ物質。 脳で作られる脳内麻薬。
研究者は次のように述べています:

「今回の研究では、皮膚に備わる有機経路によって紫外線に当たったときにβエンドルフィンが合成・放出されてアヘン(麻薬)のような作用をもたらすことが明らかになりました。 紫外線は習慣性という点においても麻薬に似ています」

「哺乳類が進化する過程において、ビタミンD を合成する必要性から紫外線を求める行動を引き起こすメカニズムが自然に発生したのかもしれません」

肌に紫外線が当たると、POMC というタンパク質が生産されます。 POMC はメラニン色素が生産される原因となるほか、皮膚においてβエンドルフィンが生産される原因にもなります。

今回の研究では、この紫外線に起因するβエンドルフィンにアヘンと同様の作用(鎮痛や依存性など)があるかどうかを調査しました。

実験の詳細
方法

マウスを2つのグループに分けて、一方のグループに対してのみ背中の毛を剃ったうえで白人がフロリダの真昼の太陽に20~30分ほど当たる場合と同程度の強さの紫外線を6週間にわたって毎日照射しました。

結果

紫外線照射開始から1週間でマウスのβエンドルフィン血中量が有意に増加し、6週間の紫外線照射期間が終わった後には徐々に通常の血中量へと戻りました。

紫外線の照射を受けたグループは、そうでないグループに比べて、人に触れられたり気温が変化したりしても動じないようになりました。 しかし、βエンドルフィン経路を遮断するナロキソンという物質を投与すると、紫外線を照射したマウスであっても通常のマウスと同様にビクビクするようになりました。

ナロキソンの投与はさらに、アヘンの禁断症と同じような症状(体が震える・寒いときのように歯をガチガチ鳴らす)を引き起こしました。

POMC が皮膚で生産されないように改造されたマウスや、βエンドルフィンの生産に必要な遺伝子が欠如しているマウスでは、通常のマウスと動揺に紫外線を照射しても、上記のような反応(物事に動じなくなる)も禁断症状も示しませんでした。 これによって、紫外線によって活性化されるオピオイド(アヘン様物質)経路が皮膚に存在することが確認されました。