バナジウムとは

必要量、供給源
動物実験の結果から、バナジウムは人体にとって必須の微量元素であると思われますが、必要量はごく微量で、摂り過ぎると有害となる可能性があります。

ヒトに必要なバナジウムの量は明確にはわかっていませんが、1日あたり10~30μgではないかと推測されています。 人体中に含まれているバナジウムの量は50~200μgだと推算されています。

一方、(米国人の)一般的な普段の食事で得られるバナジウムの量は10~60μgであるため、バナジウムをサプリメントなどでことさらに摂取する必要はないでしょう。

バナジウムは、コーンフレークや、果汁、ワイン、ビール、蕎麦、パセリ、大豆、オリーブ油、ニンジン、キャベツ、ニンニクなど様々な食品に僅かな量が含まれています。

ちなみに「富士山のバナジウム天然水」には、公式サイトによると100mlあたり6.2μgが含まれています。

バナジウムの欠乏症はヒトでは報告されていませんが、山羊の実験ではバナジウムの欠乏によって奇形児が生まれるリスクが増加しました。

効果
バナジウムは、哺乳類の成長、生殖、鉄・脂質の代謝などに必要な元素だと考えられています。

バナジウムはこれまでに、糖尿病(血糖値のコントロール)や、ボディービルディング、骨粗鬆症への効果が研究されています。

  • バナジウムの糖尿病への効果を調べたものとしては、複数の動物実験と、ヒトを対象に行なわれた2~3の試験があります。

    動物実験(ネズミ)では、バナジウムにインスリンのような効果(血糖値を下げる)がある可能性が示されており、動物実験に続いて行なわれたヒトを対象とする試験でも有望な結果となりました。

    その一方で、2008年に行なわれたレビュー(151の研究のデータを分析した)では、バナジウムが2型糖尿病に有効であるとするのに足るだけの品質に達している研究は1つも無いという結果でした。

    結論としては、現在の時点ではバナジウムが糖尿病に有効かどうかは不明です。

  • ボディービルディング用のサプリメントの中にバナジウムを含有するものがあります。 しかし、ボディービルディングへのバナジウムの効果は科学的には証明されていません。 ウェイト・トレーニングを専門とする運動選手31人を対象に行なわれた二重盲検試験において、食事で摂取する千倍以上の量のバナジウムを摂取しても効果は見られなかったのです。

  • バナジウムが骨に蓄積されることから、骨粗鬆症に対するバナジウムの効果が期待されたりもしていますが、有害金属(水銀や鉛、ヒ素)の中にも骨に蓄積するだけで骨の強化に寄与しないものがあるので、「骨に蓄積する」というだけでは骨を強化する効果があることの証明とはなりません。
摂取上限量・安全性
ヒトや動物を対象とする複数の研究で、バナジウムに毒性がある可能性や、過剰に摂取すると体内に蓄積する可能性が指摘されています。

成人で安全と考えられる摂取量の上限は1.8mg(1,800μg)です。 子供に関しては不明です。

各種の研究におけるバナジウムの用量は食事から得られる量の数千倍で、最も多いケースでは1日あたり125mgというものもあります。 しかし、このような用量は健康に深刻な被害を及ぼす危険性があります。

バナジウムの副作用としては、胃腸の出血が報告されています。

また、バナジウムに血糖値を下げる効果が実際にあるのだとすれば、バナジウムが低血糖の原因となる可能性もあります。 糖尿病の薬やインスリンを使用している場合には、バナジウムを服用する前に医師に相談しましょう。 場合によっては糖尿病の薬を減らす必要があるかもしれません。

バナジウムは腎臓により体外に排出されるため、透析患者や腎機能が衰えている人では、バナジウムの血中量が増加します。