菜食主義で高血圧の薬が不要になるかも

(2014年2月)"JAMA Internal Medicine" に掲載された国立循環器病センター(大阪)のレビュー(過去の複数の研究のデータを分析)によると、一部の高血圧患者は、菜食主義を採用することで薬に頼ることなく高血圧を治せる可能性があります。
菜食主義

一般的な菜食主義では、肉は食べませんが乳製品は摂ります。 定義によっては、卵や魚を食べる食事も菜食主義に含めることがあります。

乳製品すら摂らないというのは、完全菜食主義(Vegan)と呼ばれます。 さらに極端な生野菜食主義というのも存在します。 完全菜食主義や生野菜食主義では、ビタミンB12などの不足が問題となります。
レビューの方法

今回のレビューでは、1900~2013年に発表された39の研究(観察研究が32、臨床試験が7つ)の結果を分析しました。 これらの研究のデータに含まれる人数は2万2千人近くでした。

結果

観察研究のデータからは、菜食主義の人は肉を食べる人に比べて最高血圧が 7 mm Hg、最低血圧が 5 mm Hg 低いことが分かりました。

また臨床試験のデータからは、菜食主義のグループは肉も食べるグループに比べて最高血圧が 5 mm Hg、最低血圧が 2 mm Hg 低いという結果が出ました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「食事内容の変更というのは薬と違っておカネも別途にかかりませんし、『副作用』にしても、体重の減少・コレステロールの低下・血糖値の改善など望ましいものばかりです」

「菜食主義が高血圧の基本的な治療法の1つとして採用され、食事療法だけでは血圧が下がらない場合にのみ降圧剤を用いるという風になってもらいたいと思っています」

「高血圧の患者自身にも子供たちにも、野菜中心の食事をお勧めしたいですね。 野菜中心の食事によって多くの健康問題を予防することが期待できます」
また、菜食主義が血圧降下に有効である理由として以下を挙げています:
  • 野菜を中心とする食事は、脂肪が少なく繊維質を豊富に含む傾向にあるためダイエット効果が期待できる。 このダイエット効果によって体重が落ちると、今度はそのお陰で血圧も下がる。
  • 野菜中心の食事は往々にして塩分が少なくカリウムが豊富である。 カリウムには血圧を下げる作用がある。
  • 野菜中心の食事には飽和脂肪酸(肉やチーズに多く含まれる)の含有量も少ないために、血液が体内を循環しやすくなる。
ただし Cardiovascular Nutrition Laboratory(英国)に在籍する研究者は、今回のレビューでは食事に含まれる塩分や生活習慣などの要因が考慮されていないと指摘しています:

「菜食主義を採用するほどに健康志向の強い人というのはおそらく、塩分過多の主因である加工食品(ソーセージや、カップラーメン、冷凍食品など)をあまり食べていないはずです。 さらに、食事以外の面においても、体重が健康的であったり、運動習慣があったりする傾向が強いはずです」

「これらの要因も考慮した上での研究がなされるまでは、血圧降下の効果が全面的に菜食主義のお陰であると認めるわけにはいきません」
高血圧の薬を飲んでいる人が野菜中心の食事によって血圧を下げようとする場合には、医師に相談しながら行ってください。