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運動に老化防止の効果?

(2017年3月) "Medicine and science in sports and exercise" 誌に掲載されたマサチューセッツ大学ボストン校の研究によると、運動(余暇に行う身体活動)などの身体活動に老化防止の効果が期待できるかもしれません。 身体活動量が多い人は細胞老化の指標であるテロメアが長いという結果だったのです。

研究の方法

20~84才の米国人男女7千人近くを対象に、生活環境・健康状態・身体活動量などを尋ねるアンケートを実施し、さらに血液検査を行ってテロメアの長さを調べました。

データを分析する際には、年齢・性別・教育水準・喫煙/飲酒習慣・BMIを考慮しました。

結果
激しい運動(*)を行う時間が1週間あたり1時間増えるとテロメアが0.3%長い一方で、家事や庭仕事(†)を行う時間が1週間あたり1時間増えるとテロメアが0.2%短いという結果でした。

(*) ランニング・坂道を登る・自転車で速いペースで走る・エアロビクス・速いペースで泳ぐ・競技スポーツ(例えばサッカーやバレー、バスケ)など。

(†) 家事も庭仕事も中程度の激しさの身体活動に分類される。
通勤・通学に伴う身体活動(*)や中程度の激しさの運動(†)に費やす時間とテロメアの長さとの間には関係が見られませんでした。

(*) 自転車や徒歩で通勤するとか、駅まで歩くとか。

(†) ウォーキングなど。
また、1週間あたりの身体活動時間(*)が150分未満の場合と比較して、身体活動時間が300分/週だとテロメアが長かったものの、150分/週~299分/週の場合にはテロメアの長さに違いが見られませんでした。
(*) 余暇に行う運動に限らない身体活動。 激しさは中程度以上。
解説

世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、中程度の激しさの運動であれば1週間あたり150分以上を行うことが推奨されています。 したがって今回の結果によれば、WHOが推奨する運動時間をギリギリ満たすだけでは老化防止には不十分だということになります。

とは言え、激しい運動をやり過ぎると寿命が縮むという研究も複数存在するので、少量の激しい運動と大量の軽い身体活動を組み合わせるのが良いかもしれません。

例えば、"British Journal of Sports Medicine"(2014年)に掲載された研究では、運動習慣に加えて座って過ごす時間を減らした場合にのみ、半年のうちにテロメアの長さが回復するという結果になっています。 歩行量を増やすだけ、あるいは中程度の激しさの運動を行うようにするだけという場合には、テロメアの長さが回復していなかったのです。

"Health Promotion Perspectives" 誌(2017年)に掲載された研究でも、中程度以上の激しさの運動習慣があるうえに座って過ごす時間が短いという場合にテロメアが人並み以上に長いという結果になっています。

他にも複数の研究で、座って過ごす時間が少ない人は早死にしにくいことが示されています。 また、今回の研究では男女を区別していないようですが、男性と女性とで健康にとって理想的な運動の激しさに差がある(女性には軽めの運動が適している)可能性もあります。