ビタミンAは心臓にも影響。 しかしその影響は...

(2016年4月) 眼や皮膚の健康にとって大切であることが知られているビタミンAですが、"Heart and Circulatory Physiology" 誌に掲載されたテネシー州立大学の研究によると心臓の健康にも影響する可能性があります。 ただし、その影響は良くないものかもしれません...出典: More Than Just Eyes and Skin: Vitamin A Affects the Heart
胎児の心臓の適切な発達にビタミンAが必要であることは以前から知られていました。
研究の概要
心臓にもビタミンA受容体
研究チームはまず、心臓にもレチノイン酸(*)の受容体が存在することを確認しました。 受容体が存在するということは、心臓がレチノイン酸に反応しうるということです。
(*) ビタミンAの形態の1つ。 記事の末尾を参照。
ビタミンAが不足した時の心臓
次に、遺伝子改造により肝臓にビタミンAを蓄えられなくなったマウスに、ビタミンAをまったく含まないエサを与えてビタミンAを欠乏させるという実験を行ったところ、次の2点が明らかになりました:
  • ビタミンAが不足しても心臓のサイズや形に変化は見られなかった。
  • しかしながら遺伝子の発現(*)に変化が生じて、傷んだ心臓細胞と交換される細胞が増加し、外科的な方法により意図的に心臓発作を引き起こした後の心臓のダメージが減っていた。 ビタミンAを含有するエサを与える(与えるタイミングは不明)ようにしても、この点に変わりはなかった。
    (*) 遺伝子の設計図に基づいて体内で特定のタンパク質が作られること。
解説

過去の研究に、心臓発作が生じた後に肝臓に蓄えられているビタミンAが心臓に供給される量が増えるという結果になったものがあります。 そしてその研究ではその結果に基づいて、心臓発作により傷んだ心臓がビタミンAに備わる抗酸化作用により癒されるのだろうと結論付けられています。

しかしながら今回の結果からすると、心臓発作後に心臓へのビタミンA供給量が増加するのが心臓の修復を促進するどころか邪魔している可能性が考えられます。
留意点
今回の研究だけではビタミンAが心臓にとって良いか悪いかはまだわからず、したがって心臓の健康のためにビタミンAを摂るのが良いのか控えるのが良いのかをアドバイスできる段階でもありません。
ビタミンAの形態
ビタミンAは体内において次の3つの形態を取ります:
  • レチンアルデヒド - 眼で使われる。
  • レチニルエステル - 肝臓に蓄えられ必要に応じて使われる。
  • レチノイン酸 - 様々な生理学的プロセスにより使われる。 レチノイン酸は細胞に備わるレチノイン酸受容体を活性化させることで作用を発揮します。