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免疫細胞が腸で活躍するにはビタミンAが必要

(2015年7月) "Immunity" 誌に掲載されたパデュー大学(米国)の研究により、一部の免疫細胞が腸で活躍するのにビタミンAが必要であることが明らかになりました。 細胞実験とマウス実験により、ある種の自然免疫細胞が腸内の適切な場所に定着するのにレチノイン酸(体内でビタミンAから作られる)が必要とされることがわかったのです。

ビタミンAが不足すると感染症にかかりやすくなったり腸の粘膜バリアに存在する免疫細胞の数が減ったりすることが知られています。

自然免疫細胞と獲得免疫細胞

免疫細胞には自然免疫細胞と獲得免疫細胞の2種類が存在し、これらが力を合わせて感染症から体を守っています。 病原体を排除しようと速やかに動くのが自然免疫リンパ系細胞などの自然免疫細胞です。 一方、T細胞やB細胞などの獲得免疫細胞は動き出すのは遅いのですが、その時点で脅威となっている病原体に特化しているために当該の病原体を排除する能力は自然免疫細胞よりも優れています。

腸と自然免疫リンパ系細胞

自然免疫細胞は骨髄で生産されたものが体の各部へと運ばれます。 今回の研究で対象となった自然免疫リンパ系細胞(innate lymphoid cell)が腸のバリア組織に存在することは以前から知られていましたが、どうやって腸へと辿りつくのかは不明でした。

粘膜バリア組織は様々な病原体の侵入口となるため、自然免疫リンパ系細胞が体全体に散らばらずに腸の粘膜バリア組織に集まっていることが大切です。

健康なヒトでは、自然免疫リンパ系細胞は腸壁の上皮細胞バリアの下に定着していて、病原体が到来して上皮バリアを突き抜けて来るのを待ち構えています。 そして病原体がやって来ると病原体の組織や血流への侵攻を食い止めるべく攻撃を開始すると同時に、警報を鳴らして広範な免疫反応を引き起こします。

今回の発見

骨髄で生産された自然免疫リンパ系細胞はまずリンパ節に集合し、そこから最終目的地へと移動します。 今回の研究では、3種類の自然免疫リンパ系細胞のうちの2種類(ILC1 と ILC3)の移動にレチノイン酸が関与していることが明らかになりました。

腸において誘導装置として機能する細胞の受容体をレチノイン酸が活性化していたのです。 この受容体には、血流に乗って移動中の自然免疫リンパ系細胞を捕まえて腸に存在する分子と結合させ腸に定着させるという役目があります。

周辺情報
  • 同じ研究チームは過去に、T細胞の制御にもビタミンAが関与していることを明らかにしています。
  • 免疫細胞の移動に関与するのはビタミンAだけではありません。 皮膚における免疫細胞の誘導にはビタミンDが関与しています。
  • ビタミンAはレバー(鶏や豚)、ニンジン、かぼちゃ、ほうれん草などに豊富に含まれています。