ビタミンCと気分の関係

(2018年7月) "Antioxidants" 誌に掲載されたオタゴ大学(ニュージーランド)の研究で、ビタミンC 血中濃度と気分の関係が調査されています。

研究の方法

18~35才の男性139人を対象に、ビタミンC 血中濃度を調べたり気分を尋ねるアンケート調査(POMS)を行ったりしました。

結果

ビタミンC 血中濃度の平均は58.2μmol/Lでした。 POMSの平均スコアは25.5(*)でした。
(*) スコアの範囲は-32~200でスコアが高いほど気分障害がひどい。

ビタミンC 血中濃度とPOMSスコアの間に弱い(γ=-0.18)逆相関関係(血中濃度が高いと気分が良好であるという関係)が見られました。

POMSの項目ごとに見ると、抑鬱・怒り・錯乱(*)という3つの項目(†)においてビタミンC 血中濃度とのあいだに弱い逆相関関係が見られました。

(*) ただし、錯乱のp値は0.084。 この研究でもp値が0.05以下の場合を「統計学的に有意」とみなしており、その一方で「錯乱」はp値が0.084だが、論文のディスカッションの部分に「錯乱とビタミンC 血中濃度のあいだに統計学的に有意な逆相関関係が見られた」と明記されている。

(†) 他の項目は疲労感・緊張・活力の3つ。

解説

脳とビタミンC

近年の研究により、ビタミンC がニューロン(脳の神経細胞)の機能や成熟にも関与することが明らかになりつつあります。 哺乳類の体組織のなかでニューロンのビタミンC濃度は最高水準にあります。 ビタミンなどの微量栄養素は脳の構造や機能に影響します。

ビタミンCと抑鬱

ビタミンC はドーパミン/ノルアドレナリン/アドレナリン(そして恐らくはセロトニンも)などの神経伝達物質の合成に関与しています。 ドーパミン/ノルアドレナリン/セロトニンは抑鬱に関与すると考えられています。

また最近では、低レベルの炎症や酸化ストレスが抑鬱に関与する可能性も示されていますが、ビタミンC には抗炎症や抗酸化といった作用もあります。

今回の研究の弱点

今回の研究には次のような弱点があります:
  1. 気分に影響しかねない生活上の出来事の有無を調べていない。
  2. ビタミンC 以外の栄養状態や運動不足なども気分に影響している可能性があるが、これらについて調べていない。
  3. ビタミンC 血中濃度が高いから気分が良好なのでなく、気分が良好であると野菜や果物の摂取量が多くビタミンC 血中濃度が高いのかもしれない。

ビタミンCの補給源

ビタミンC は、オレンジ/レモン/グレープフルーツなどの柑橘類やピーマン/ブロッコリー/キャベツなどの緑色の野菜のほか、トマト/ジャガイモなどの野菜に豊富に含まれています。

今回のデータではビタミンC 血中濃度が世間全般よりも高い水準にありましたが、それはビタミンC のサプリメントや果物ジュースが理由かもしれません。 今回のデータには、ビタミンC のサプリや果物ジュースを摂取する人が相当数含まれていました。