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ビタミンCが骨粗鬆症の予防に効果。 しかし運動習慣があると効果なし

(2016年6月) "Journal of Physical Therapy Science" に掲載された韓国の研究によると、運動不足の人はビタミンCを摂るのが骨粗鬆症の予防に役立つ可能性があります

研究の方法
50才以上(平均年齢69才)の骨粗鬆症患者 1,212人(*)のデータをビタミンC摂取量に応じて4つのグループに分けて、骨粗鬆症のリスクを比較しました。
(*) 20%が男性。 閉経前の女性はデータから除外されています。
結果

データ全体の分析では、ビタミンC摂取量が最も多いグループはビタミンC摂取量が最も少ないグループに比べて骨粗鬆症のリスクが33%低いという結果になりました。 ビタミンC摂取量が2番目に多いグループと3番目に多いグループでも骨粗鬆症のリスクが低い傾向はありましたが、統計学的に有意と言える数字ではありませんでした。

運動習慣がない場合

運動習慣が無かった634人のデータに限って分析したところ、ビタミンC摂取量が最も多いグループと2番目に多いグループでは、ビタミンC摂取量が最も少ないグループに比べて骨粗鬆症のリスクが低下していました。 低下幅は、摂取量が上から2番目のグループで-43%、摂取量が最も多いグループで-54%というものでした。

運動習慣がある場合
運動習慣があった578人のデータに限って分析したところ、ビタミンC摂取量と骨粗鬆症のリスクの間にまったく関係が見られませんでした(ビタミンC摂取量が最も多いグループでも全くリスクが下がっていなかった)。
上記の結果はすべて(データ全体の分析も運動習慣がある場合/無い場合の分析も)、年齢・性別・年収・教育水準・喫煙/飲酒習慣・運動量・ホルモン補充療法・カルシウム摂取量・ビタミンD血中濃度などの要因を考慮した後のものです。
解説
ビタミンCと骨粗鬆症
男性でも女性でも、酸化ストレス(*)が骨量の減少に影響します。 したがってビタミンCなどの抗酸化物質は、酸化ストレスを減らすことによって骨粗鬆症の予防に役立つと考えられます。 また、 "Journal of Biological Chemistry"(2010年)に掲載された研究によると、ビタミンCには、コラーゲンの形成とカルシウムの吸収を促進する効果も期待できます。
(*) 活性酸素種-抗酸化物質=酸化ストレス。 年を取るとエストロゲン(女性ホルモン)が減少することが知られていますが、このエストロゲンにも抗酸化作用があります。

ビタミンCが骨密度に作用する分子的なメカニズムは未だ完全には解明されていませんが、溶骨細胞(骨を分解して血中へと吸収させる細胞)による骨の減少を抑制するメカニズムと、造骨細胞(骨を造る細胞)による骨の形成を促進すメカニズムの両方に深く関与している可能性があります。

運動と骨粗鬆症

運動には、①老化による骨量の減少を防ぐ効果と、②骨の形成および骨密度の増大を促進する効果があります。 しかし特に高齢者では、運動中に発生する酸化ストレスが運動の骨粗鬆症予防効果の足を引っ張っている可能性が考えられます。

若い人であれば、体が適応する(*)ことによって運動中に発生する酸化ストレスを減らせますが、このような適応力は老化にともなって衰えてしまいます。 したがって、運動習慣がある高齢者ではビタミンCのような抗酸化物質が骨密度の維持にとって有益だと考えられます。
(*) 運動習慣によって抗酸化酵素が備わるということでしょう。 (参考記事: 運動習慣が無い人が激しい運動をするとフリーラジカルに弱くなる?
それなのに今回の研究では、運動習慣がある人の場合にはビタミンCの摂取量によって骨粗鬆症のリスクが変わったりはしないという結果になりました(理由は不明)。