経口摂取のビタミンDで一部の皮膚ガンのリスクが増加

(2016年8月) これまでの研究にはビタミンDの皮膚ガン予防効果を示唆するものも存在しますが、"Plos One" に掲載されたハーバード大学などの研究で、食事やサプリメントなどから摂取するビタミンDの量が多くても皮膚ガンのリスクは下がらず、それどころか一部の皮膚ガンのリスクは増加するという結果になりました。
皮膚に日光が当たって体内で合成されるビタミンDではなく食事やサプリメントで経口摂取するものに限ったビタミンDと皮膚ガンのリスクとの関係については、これまでほとんど研究が行われていませんでした。
研究の方法
米国に住む男女10万人超を24~26年間追跡調査したデータを用いて、食事またはサプリメントによるビタミンD摂取量と皮膚ガン(*)のリスクとの関係を調べました。 ビタミンD摂取量の調査は、追跡期間中に2~4年ごとに行いました。
(*) 基底細胞ガン(BCC)・扁平上皮ガン(SCC)・メラノーマの3種類。
結果

追跡期間中に発生した症例数は、BCCが2万件超、SCCが 2,300件超、メラノーマが 1,300件超でした。

SCCとメラノーマ

ビタミンD摂取量とSCCおよびメラノーマのリスクとの間には関係が見られませんでした。

BCC

BCCについてはビタミンD摂取量が多いと発症リスクが高いという関係が見られ、ビタミンD総摂取量(*)に応じてデータを5つに分けた中で摂取量が最大だったグループは最少だったグループに比べて、BCCのリスクが10%増加していました。

この数字は、食事由来のビタミンD摂取量に限ると13%、サプリメント由来のビタミンD摂取量(†)に限ると7%というものでした。

(*) 食事&サプリメント。

(†) 摂取量が最大のグループのビタミンD摂取量は400IU/日以上。

上記の数字はいずれも、日光の紫外線にさらされる量や皮膚ガンの家族歴など皮膚ガンのリスクに影響すると考えられる要因を考慮したのちのものです。

解説
研究チームによると、ビタミンD摂取量が多いグループでBCCのリスクが増えていた理由として考えられるのは次のようなものです:
  • ビタミンD摂取量が多いグループは魚と穀類の摂取量が多かった。 魚にも穀類にもビタミンDが豊富に含まれていますが、これらの食品にはヒ素も比較的多く含まれています。 そしてヒ素は皮膚ガンのリスク要因です。
    ヒ素には、酸化ストレスを引き起こす・免疫機能を損なう・遺伝子を傷つけるといった良くない作用があります。
  • 健康診断を受けることが多かった。 ビタミンD摂取量が多かったグループは喫煙や飲酒をすることが少なく健康的であったため健康診断を受けることが多く、そのために皮膚ガンが見つかるケースが増えたという可能性も考えられます。
  • ビタミンD摂取量が多かったグループの運動量が多かった。 屋外で運動をすることが多いと皮膚が紫外線にさらされることが増えるために皮膚ガンが生じるリスクが増加します。