ビタミンDに糖尿病予防効果はない

ビタミンDの血中濃度と2型糖尿病発症リスク

(2014年10月) これまでの複数の観察研究でビタミンD不足が2型糖尿病の一因となっている可能性が示唆されていますが、"The Lancet Diabetes & Endocrinology" に掲載されたケンブリッジ大学の研究により、ビタミンDの血中濃度と2型糖尿病発症リスクとの間の因果関係が否定されました。

研究の概要

この研究では、ビタミンDと糖尿病リスクとの関係を、ビタミンD血中濃度をコントロールする遺伝子を用いて調査しました。

ビタミンD血中濃度をコントロールする複数の遺伝子変異体の間で2型糖尿病発症リスクを比較したところ、遺伝子変異体が違っても糖尿病発症リスクは変わりませんでした。 さらに、ビタミンD血中濃度と血糖値や糖化ヘモグロビン(A1c)値などの糖尿病に関与する項目との間にも関係が見られませんでした。

今回の結果は複数のランダム化比較試験の結果とも一致しています。 これらの対照試験においても、ビタミンDのサプリメントを服用したグループで2型糖尿病のリスクは下がっていませんでした。 35の短期間の試験のデータを分析したメタ分析でも、ビタミンDのサプリメントに2型糖尿病を予防する効果はあまり期待できないという結果になっています。

コメント

これまでの観察研究においてビタミンDと糖尿病リスクのあいだに関係が見られた理由について研究者は「運動量などのようにビタミンD血中量と2型糖尿病リスクの両方に影響する要因を十分に考慮できていないためではないか」としています。 ただし「ビタミンDと2型糖尿病の関係に関する研究の余地がこれ以上無いわけではない」とも述べています。

ビタミンD は糖尿病前症に効果なし

(2014年7月) "Diabetes Care" 誌に掲載されたノルウェーの研究では、糖尿病前症の人がビタミンDを服用しても血糖上昇ペースや心血管疾患リスクに改善は見られないという結果になっています。

研究の概要

空腹時血糖異常(IFG)または耐糖能障害(IGT)のある男女511人を2つのグループに分けて、一方のグループにはビタミンD3 を、そしてもう一方にはプラシーボを1年間にわたって服用させたところ、ブドウ糖代謝・インスリン分泌量・インスリン感受性のいずれにおいても、2つのグループの間で違いが見られませんでした。 血圧と高感度C 反応性タンパク質の血中量(炎症の指標)についても同様に違いが見られませんでした。

また、プラシーボのグループに比べてビタミンDのグループではLDLコレステロール値は僅かながらも有意に低下していたものの、HDLコレステロール値も低下していました。

コメント

研究者は次のように述べています:
「今回の研究では、糖尿病前症の人がビタミンDを補給しても、血糖上昇速度・血圧・血中脂質は改善しないという結果になりました」