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ビタミンDで線維筋痛症の症状が緩和

(2014年1月) "PAIN" 誌に掲載された Orthopädisches Spital Speising(オーストリア)の研究によると、ビタミンD のサプリメントが線維筋痛症候群(FMS)の治療に有効であり、他の治療法の代替療法として用いる、あるいは他の治療法と併用できる可能性があります。

線維筋痛症候群とは

線維筋痛症候群(FMS)とは、慢性的な全身痛と疲労感をの一般的な症状とする原因不明の病気です。 FMSでは、痛みや疲労感に加えて、睡眠障害・起床時の体のこわばり・注意力散漫のほか、軽度~重度の不安感や鬱症状が見られることもあります。 FMSは生活の質を損なうため、仕事に就けなかったり、社会生活から遠ざかったりする原因になることもあります。

FMSの症状の一部は、物理療法・認知行動療法・薬物療法(アミトリプチリンや、デュロキセチン、プレガバリンなどの薬)・集学的治療(外科的治療・内科的治療・放射線治療など複数の治療法を組み合わせて行う治療法)で緩和できますが、対処法のない症状もあります。 FMSは現在の医療技術では治すことが出来ません。

FMSの日本における潜在的な患者数は200万人以上と推算されていますが、実際の患者数として報告されているのが3千人~4千人ほどでしかないため、FMSであるのにFMSだと診断されていない患者が相当数存在すると考えられています。

今回の研究

研究の背景

今回の研究を行った動機について研究グループは次のように述べています:

「痛みと線維筋痛症がひどい患者では、カルシフェジオールの不足が特に顕著に見られることもあって、慢性痛の知覚におけるカルシフェジオールの役割が広く議論されてきました。 ところが、線維筋痛症の患者に対するビタミンD補給の効果に関しては研究が進んでいません」

「そこで、今回わたしどもは、カルシフェジオールが不足しているFMS患者に、コレカルシフェロールを補給することで痛みなどの諸症状が改善するかどうかを調べることにしたのです」
ビタミンDをサプリで飲むときの形態はコレカルシフェロール。 これが体内で処理されて血流中に存在するときの形態がカルシフェジオールです。

研究の方法

カルシフェジオールの血中量が 32ng/ml 未満という低レベルにあるFMSの女性患者30人を被験者とする無作為化対照試験を実施しました。30人を2つのグループに分けて20週間にわたり、一方のグループにはコレカルシフェロール(ビタミンD3)のサプリメントを、そしてもう一方のグループにはプラシーボを服用してもらいました。

コレカルシフェロールの服用量は、カルシフェジオールの血中量が32~48ng/ml となるように調節しました。服用開始から5週間後および13週間後にカルシフェジオールの血中量を再度測定し、これらの結果に応じて服用量を再調整しました。

結果

主な結果は次の通りです:
  • 服用期間終了後24週間目の時点で、コレカルシフェロールを服用したグループでは感じる痛みが顕著に軽減していた。
  • 生活に必要な身体能力(physical role functioning)を服用開始1週間の時点と服用期間終了後5週目とで比較したところ、コレカルシフェロールを服用したグループでは有意な改善が見られたのに対して、プラシーボを服用したグループでは変化がなかった。
  • コレカルシフェロールを服用したグループでは、"Fibromalgia Impact Questionnaire(線維筋痛症の影響に関する問診票)" の項目の1つである「朝の疲労感」に関してもスコアが有意に改善していた。
  • 鬱症状や不安感に関しては有意な変化が見られなかった。

コメント

研究者は次のように述べています:

「FMSは幅広い症状からなる症状群であるため、ビタミンD欠乏症だけでどうこうできる病気ではありません。しかし、ビタミンDのサプリメントはFMS患者にとって比較的安全で、経済的にも負担が軽い治療法です。 したがって、ビタミンDは他の様々な治療法の代替療法あるいは補完療法として、非常にコスト・パフォーマンスに優れていると考えられます」

「特に(日照不足でビタミンDが不足しがちな)冬季には、FMS患者のビタミンDの血中濃度を測定して、不足している場合には補うと良いでしょう」