ビタミンDの補給がメタボリック・シンドロームのリスク低減に効果

(2015年9月) 過去の複数の研究でビタミンDの不足によりメタボリック・シンドロームの発症リスクが増加することが示されていましたが、"Nutrients" 誌に掲載されたアルバータ大学(カナダ)の研究で、ビタミンDの補給がメタボリック・シンドロームのリスク低減に有効であるという結果になりました。
Truong-Minh Pham, John Paul Ekwaru, Solmaz Setayeshgar and Paul J. Veugelers. The Effect of Changing Serum 25-Hydroxyvitamin D Concentrations on Metabolic Syndrome: A Longitudinal Analysis of Participants of a Preventive Health Program. Nutrients 2015, 7(9), 7271-7284; doi:10.3390/nu7095338
研究の方法

生活習慣改善プログラムに数年間にわたり参加したカナダ人男女 6,682人(女性 3,526人)のビタミンD血中濃度やメタボリック・シンドローム発症率などに関するデータを分析しました。 生活習慣改善プログラムでは、食生活や運動習慣の改善のほかビタミンD摂取量の増強が推奨されました。

結果

ビタミンD血中濃度が増加していたグループではメタボリック・シンドロームのリスクが低下していました。

ビタミンD血中濃度が増えていなかったグループ(19.8%)に比べて、ビタミンD血中濃度が増加していた各グループでは年間の増加量に応じて(そして当初のビタミンD血中量とは無関係に)次のようにメタボリック・シンドロームのリスクが低下していました:
  • 増加量が25nmol/L未満(30.8%)の場合: -24%
  • 増加量が25~50nmol/L未満(19.9%)の場合: -36%
  • 増加量が50~75nmol/L未満(10.7%)の場合: -41%
  • 増加量が75nmol/L以上(18.8%)の場合: -44%
カッコ内の数字は各グループがデータ全体に占める割合。
上記の数字は、年齢・性別・血液サンプルを採取した季節(*)・喫煙習慣・飲酒習慣・運動量などを考慮した後のものです。
(*) ビタミンDは皮膚に日光が当たることで合成されるので、季節による日照量の違いがビタミンD血中濃度に影響します。
留意点
研究チームは留意点として次の2点を挙げています:
  • 今回の研究はランダム化比較試験ではないので結果に偏りが生じている可能性がある。
  • 生活習慣改善プログラムに参加することによって生じた生活習慣の変化(改善)がメタボリック・シンドロームのリスクに影響している可能性がある。
    例えば、生活習慣改善プログラムでは食生活に関するアドバイスをしていますが、データの分析時に食事内容の変化は考慮されていません。
したがって今後、ランダム化比較試験を複数行って今回の結果を確認することが望まれます。