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ビタミンD が認知機能の維持に有効かも

(2014年9月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" 誌オンライン版に掲載されたケンタッキー大学の研究によると、認知能力の維持にビタミンD が有効かもしれません。

この研究でビタミンD を半年間にわたって毎日大量に投与された中年ネズミは、投与量が少なかったネズミよりも迷路を効率的にクリアできたのです。

今回の研究によるとビタミンD には、記憶と学習に深く関与する脳の領域(たぶん海馬のこと)においてニューロン同士が連絡を取り合う際に必要となるシグナル伝達化学物質のリサイクルと再充填に関与する機構を強化する作用があると思われます。 研究者は、ビタミンD のこの作用が「食料品店の棚の商品を補充するようなものだ」と述べています。

さらに、(ビタミンD の投与量が多かったネズミでは)ニューロンが当該のシグナルを受け取り処理する能力が向上しており、それによって記憶の形成と読み出し(情報のインプットとアウトプットということでしょう)が影響を受けて(向上して?)いました。

記憶力の改善とビタミンD 代謝物(投与されたビタミンD が体内で変化したもの)の体内量とのあいだには相関関係が見られました。 このビタミンD 代謝物の体内量は、米国当局が骨の健康を維持するうえで必要であるとする推奨量の1.5倍(ただし、多くの専門家が推奨する範囲内の量)でした。

実験の内容

ネズミたちを3つのグループに分けて、ビタミンD3 を高用量・中用量・低用量のいずれかで半年間にわたって投与しました。

そして、3つのグループを用いて、水の迷路に存在するプラットフォーム(浮き島?)の位置が変わったのを覚える能力をテストしました。 これはヒトで言えば、職場の駐車場で自分が車をとめる場所が変わったときにどれだけスムーズに対応できるかという状況に相当します。

テストの結果、プラットフォームの新しい場所に真っ先にたどり着いたのはビタミンD を高用量で投与されたグループで、プラットフォームに至るまでに辿ったルートも簡潔(方向転換の回数が少ない)でした。 これに対して、ビタミンD を低用量で与えられたグループの辿ったルートというのは幼稚園児の描いた落書きのようにひどいものでした。

ネズミの脳の海馬(記憶の形成と整理にとって重要な器官で、認知機能に深く関与している)の内部を見ると、数十もの遺伝子の活性に重要な変化が生じていました。 顕著だったのは、神経伝達物質をシナプスへと運ぶ小嚢(vesicle)が関与する変化でした。 神経伝達物質はシナプスで小嚢から放出されて、隣接するニューロンに拾い上げられます。

今回の研究はネズミで行われたため、ヒトでも同じことが言えるという保証はありません。 また、ビタミンD(特にビタミンD3)は過剰に摂取すると、まれに血中のカルシウム量が増えすぎることがあるため、研究チームは現時点ではビタミンD の大量摂取を推奨していません。