ビタミンDで膵臓ガンになるリスクは下がらないが膵臓ガンで死亡するリスクは下がる?

(2017年10月) "Oncotarget" 誌に掲載されたメタ分析で、ビタミンDが膵臓(すいぞう)ガンの予防には効果がなさそうだが膵臓ガン患者の生存率向上には効果が期待できるという結果となりました。

メタ分析の方法

次の12の研究のデータを分析しました:
  • ビタミンD血中濃度と膵臓ガンで死亡するリスクとの関係について調べた5つの研究(データに含まれる人数の合計は 1,613人)
  • ビタミンD摂取量と膵臓ガンになるリスクとの関係について調べた5つの研究(データに含まれる人数の合計は1万7千人超)
  • ビタミンD血中濃度と膵臓ガンになるリスクとの関係について調べた2つの研究(データに含まれる人数の合計は87万人超)

結果

発症リスク

ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD3)の摂取量や血中濃度と膵臓ガンになるリスクとの間には関係が見られませんでした。

死亡リスク

しかし膵臓ガンによる死亡に関しては、ビタミンDの血中濃度が高い場合には低い場合に比べてリスクが19%低くなっていました。

解説

ビタミンD血中濃度が高いと膵臓ガンで死亡するリスクが低下する理由は完全には明らかになっていませんが、いくつかのメカニズムが考えられます(この記事では割愛します)。

研究チームによると、膵臓ガンの治療にビタミンDを利用するという研究も行われていますが、カルシトリオール(人体で利用されるビタミンDの最終的な形態)には高カルシウム血症や高カルシウム尿症といった重大な副作用のリスクがあり、それがビタミンD利用の妨げとなっています。

留意点

今回のメタ分析で用いた研究に色々な弱点があったため、今回の結果は結論的なものではありません。 今後もビタミンDと膵臓ガンの関係について調査を続ける必要があります。

ビタミンDの補給

ビタミンDは食品にも含まれていますが、日光が皮膚に当たることで主に補給されます。 日光に含まれる紫外線B波が皮膚に当たることでビタミンDが合成されるためです。

国立環境研究所(茨城県つくば市)の研究によると、冬の札幌でも76分間の日光浴で成人が1日に必要とする量のビタミンDを作れます。 スペインのバレンシアで行われた研究では、真冬の1月に 1,000IUのビタミンDを得るには130分間の日光浴が必要だという結果になっています。

十分なビタミンDを得るのに必要となる日光浴の時間は、服装(長袖か半袖かなど)や姿勢の影響を受けるので、日光にさらされる皮膚の範囲が狭ければ必要となる日光浴の時間が長くなります。 一般的には、日光に当たりすぎてもビタミンDが過剰に作られる心配はありません。

関連研究

2015年に発表されたカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究では、日光の量が少ない国で膵臓ガンの発生率が高いという結果になっています。