ビタミンDで筋力トレーニングの効果が微妙にアップ

(2015年10月) "Nutrition & Metabolism" 誌に掲載されたコペンハーゲン大学の研究で、ビタミンDが不足していない人がビタミンDを服用して筋力トレーニングをしても筋力トレーニングの効果に微妙な違いしか生じないという結果になりました。

虚弱かつビタミンD不足の人の場合には筋肉機能が改善にビタミンDが有効であることが近年の複数の研究により示されています。

研究の方法
普段は筋力トレーニングをしていないという20~30才の若い男性20人と60~75才の高齢男性20人をそれぞれ2つのグループに分け16週間にわたって毎日、一方のグループにはビタミンD48μgおよびカルシウム800mgを、そしてもう一方のグループにはカルシウム800mgのみを服用してもらいました。
次の4つのグループということになります:
  • ビタミンD48μgおよびカルシウム800mgを服用する若い男性
  • カルシウム800mgのみを服用する若い男性
  • ビタミンD48μgおよびカルシウム800mgを服用する高齢の男性
  • カルシウム800mgのみを服用する高齢の男性

試験は緯度が高いコペンハーゲンの12月~4月にかけておこなわれました(太陽光から得られるビタミンDが少ない)。 被験者は全員が白人で、健康でビタミンDも不足していない男性たちでした。

それぞれのサプリメントを飲み始めて4週間が経ってから4つのグループに大腿四頭筋の筋力トレーニングを始めてもらいました(トレーニングは徐々にきつくしていった)。

筋肥大の程度は筋断面積と等尺性収縮力から判定しました。

結果

ビタミンDを服用した2つのグループでは血中ビタミンD濃度がしっかりと増加していましたし、12週間の筋力トレーニングによる筋肉増強効果も4つのグループで見られましたが、ビタミンDを服用したグループと服用しなかったグループの間で筋肥大および筋力の改善幅に違いは見られませんでした。

ただしビタミンDを服用したグループでは、高齢者においては筋肉の質が改善しており、若者においてもIIx型の筋繊維からIIa型(*)へと変わる割合が大きく、さらにマイオスタチンmRNA(†) の発現量が低下していました。

(*) IIa型は瞬発力と持久力を兼ね備えるバランスのよい筋肉。 今回の試験では筋力だけで筋パワー(力×速度)は調べていないのでIIa型への変化による効果は数字には出ていません。

(†) Wikipedia によると、マイオスタチンとは筋肉細胞が生産するタンパク質で、筋細胞の成長と分化を阻害します。 動物実験ではマイオスタチンを除去あるいは遮断することで筋肉量が増えるという結果になっています。 マイオスタチン発現量の減少は、骨格筋(内臓の筋肉ではない筋肉)の合成と分解のバランスにとって有益だと考えられます。

Wikipedia(日本語版)によるとmRNAはDNAから写し取られた遺伝情報に従ってタンパク質を合成するので、マイオスタチンmRNAの発現量が低下するということは、マイオスタチンの生産量が減るということなのでしょう。