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ビタミンDに微妙なアンチ・エイジング効果?

(2017年2月) "Journal of Nutrition" に掲載されたトロムソ大学(ノルウェー)などの研究で、ビタミンDの血中濃度が低い中年の人はテロメアが短いという結果になりました。

テロメアとビタミンD
テロメア

テロメアは細胞の老化の指標で、同い年の人であってもテロメアが長い人のほうが若々しくて健康的であると考えられています。

ビタミンD

ビタミンDが欠乏している人は早死にしたりガンになったりしやすいというデータが存在します。 しかし、ビタミンD血中濃度と早死にやガンのリスクとの関係は、生物学的な説明によって十分に裏付けられているとは言えません。

研究の方法

米国に住む20才以上の成人男女4千人超から血液を採取して、白血球のテロメアの長さとビタミンD血中濃度を調べました。

4千人超のうち40~59才の中年 1,300人ほどでした。 ビタミンDは血中濃度が50nmol/L(20ng/ml)の場合を、血中濃度が理想的であるとみなしました。

データの分析においては、年齢・性別・人種・BMI・カロリー摂取量・社会経済的状態(収入・職業・学歴など)・カルシウム摂取量・牛乳摂取量・サプリメント服用状況・身体活動量など、テロメアの長さやビタミンD血中濃度に影響する要因を考慮しました。

結果

40~59才の中年グループにおいて、ビタミンD血中濃度が50nmol/L以上である場合には50nmol/L未満である場合に比べて、テロメアが0.13kbp(キロ塩基対)長いという結果でした。

ビタミンD血中濃度が10nmol/L増えるごとにテロメアが0.03kbp長いという計算になります。

中年以外の年齢層ではビタミンD血中濃度とテロメアの長さのあいだに関係が見られなかったのでしょう。
1kbpはどれくらい?

今回の研究チームが結論において「今回の結果の臨床的なインパクトは不明だ」と述べているので、0.03kbpや0.13kbpという数字はそう大きな意味を持たない数字なのでしょう。

しかし、「1kbp」というのはどの程度の意義があるものなのでしょうか? 検索したところ、この点を把握するうえで参考になりそうな研究が2つ見つかりました。

肝臓の組織で調べた研究

東京都健康長寿医療センターなどの研究チームが 1999年に発表した研究では、肝臓組織のテロメアの長さが新生児(5人で計測)では12.9kbpであるのが100才以上の高齢者(1人で計測)では8.3kbpであるという結果になっています。

他の年代グループの平均kbpは、8才以下(10人)で13.2kbp、40~79才(29人)で7.8kbp、80才以上(53人)では7.5kbpというものでした。

食道の組織で調べた研究

同じ研究チームは 2000年にも食道粘膜から採取した組織を用いて様々な年齢層のテロメアの長さを調べた結果を発表しています。 こちらの研究では、新生児(12人)のテロメアの長さが15.2kbpなのに対して、100才以上の長寿者(2人)では9.3kbpという結果です。

他の年代グループのテロメアの長さ(平均値)は、2才未満の乳幼児では14.9kbp、2~20才の子供では14.0kbp、21~60才の成人では10.1kbp、61~80才の高齢者では10.4kbp、81~102才の超高齢者では9.5kbpというものでした。
テロメアが短くなるペースが一生を通して均一ではなく、若いうちにテロメアが急速に短くなり、年を取ると縮み方が鈍化していることがわかります。