ビタミンDがダイエットによる慢性炎症の軽減を促進

(2015年6月) "Cancer Prevention Research" 誌オンライン版に掲載されたフレッド・ハッチンソン癌研究センターの研究によると、慢性炎症を緩和するには減量(ダイエット)だけよりもビタミンDと減量を組み合わせるほうが効果が大きくなります。 慢性炎症は一部のガンなどの病気の発症と進行を助長します。

研究者は次のように述べています:
「慢性炎症の緩和において、ビタミンDの補給(不足時のみ)と減量がそれぞれ有効であることは過去の研究からわかっていました」
肥満と炎症

炎症は体が細菌やウイルスなどの病原体にさらされたときに生じて、病原体による攻撃が止んで炎症反応が治まるまで免疫系を活性化させます。

しかし肥満者は慢性的な炎症状態にあります。 脂肪組織がサイトカインと呼ばれ通常は感染症にかかったときなどに短期的にしか作られない分子を継続的に作り出すために、炎症反応が増加した状態が続くのです。そして、このような慢性的な炎症状態がガン細胞の成長を助長すると考えられています。
肥満者では脂肪細胞が脂肪を吸収できる限界を超えるために死滅し、そのときに放出される毒素が炎症を引き起こすのではないかと考えられています。
研究の方法

この研究では、ビタミンDが不足(32 ng/mL 未満)している過体重で閉経後の女性218人を被験者とする対照臨床試験を行いました。 試験期間は12ヶ月。

女性たちを2つのグループに分けて、一方のグループにはダイエットをしつつビタミンDを服用してもらい、もう一方のグループにはダイエットをしつつプラシーボを服用してもらいました。
  • ダイエットの内容は運動プログラムと食事内容の改善でした。
  • 運動プログラムの内容は、45分間の中~高強度の運動を週に5日行うというものでした。
  • ビタミンDの用量は1日あたり 2,000 IU でした。
試験期間の最初と最後にインターロイキン6(IL-6)と呼ばれる炎症のバイオマーカーを測定し、試験期間中にどの程度変化したかを両グループで比較しました。
IL-6
IL-6は健康な人にも存在しますが、この量が多過ぎる人では一部のガンや糖尿病のリスクが増加します。 IL-6は鬱の原因にも関与している可能性があります。
結果

いずれのグループでも試験終了の時点では試験開始時点に比べて炎症が軽減されていました。 つまり減量だけでも炎症を減らす効果があったというわけです。

しかしながら、炎症の軽減が最も顕著だったのはビタミンDを服用していたグループのうち試験期間中の体重減少幅が5~10%であるというサブグループで、IL-6が37%も減っていました。 ビタミンDを服用していて体重減少幅が10%というサブグループでも同じような数字でした。 これに対してプラシーボのグループのIL-6減少幅は17.2%でした。
「ビタミンDの炎症低減効果は試験期間中に体重が5%以上減った場合にのみ見られました。 このことから、ビタミンDは(単独で炎症低減効果を発揮するというよりも)減量による炎症低減効果を増幅するのではないかと思われます」