αトコフェロール(ビタミンE)でアルツハイマー病の進行が鈍化する可能性

"JAMA"(2014年1月)に掲載された研究によると、ビタミンE(αトコフェロール)に認知症の1種であるアルツハイマー病の進行を鈍化させる効果があるかもしれません。

研究の方法
軽~中程度のアルツハイマー病でアセチルコリン・エステラーゼ阻害剤(*) を服用中の患者を対象に、機能低下(functional decline)に対する①ビタミンEのみ、②メマンチン(†) のみ、および③ビタミンE&メマンチンの効果と安全性を比較しました。

(*) アセチルコリンという神経伝達物質の量と作用時間を増加させる作用のある薬。

(†) NMDA型グルタミン酸受容体遮断薬。 アルツハイマー病の治療に用いられる。

患者の人数は613人で、その内訳はビタミンEのみ(2,000 IU/日)が152人、メマンチンのみ(20 mg/日)が155人、ビタミンE&メマンチンが154人、そしてプラシーボが152人でした。

結果
ビタミンEのみを服用したグループでは、プラシーボのグループよりも機能低下の進行が遅くなっていました。 日常生活(*) を遂行する能力の衰えが年間で19%鈍化していたのに加えて、介護に要する時間が1日あたり2時間も減っていたのです。
(*) 「日常生活」- Activities of daily living(ADL)。 食事や着替え、トイレ、入浴、電話をする、買い物をするなど。

ビタミンEのグループとプラシーボのグループのアルツハイマー病の程度の差は、ADCS-ADL Inventoryという ADL の尺度では3段階に相当します。 尺度が3段階下がると例えば、一人では全く着替えが出来ないとか、お風呂に入れないという状態になります。

その一方で、メマンチンのみを服用したグループおよびビタミンE&メマンチンを服用したグループでは、(プラシーボを服用したグループと比べて)臨床的に違いがありませんでした。

早死にのリスクは増えず

今回の研究ではビタミンEを服用したグループでも早死にのリスクが増えていませんでした。 年間の死亡率が、ビタミンEを摂取したグループでは7.3%だったのに対して、プラシーボのグループでは9.4%だったのです。

2005年に発表されたビタミンEに関するメタ・アナリシスでは、400 IU/日以上のビタミンEによって早死に(原因を問わない)のリスクが増加する可能性が示されていました。