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ビタミンEは肺ガンを抑制するどころか促進する

(2014年1月) "Science Translational Medicine" 誌に掲載されたヨーテボリ大学(スェーデン)の研究によると、ビタミンEのサプリメントによって肺ガンが抑制されるどころか促進される可能性があります。

研究の方法
ヒトの肺ガン細胞を植えつけて初期の肺ガンにしたマウスに通常量のビタミンEと、それより少量のアセチルシステイン(*)とを投与するという実験を行いました。
(*) 粘液の粘度を減少させて排出しやすくするためなどに用いられる抗酸化物質。 アセチルシステインもビタミンEも具体的な投与量は不明。
結果

予想に反して、抗酸化物質(ビタミンEとアセチルシステイン)を投与したマウスでは腫瘍の数が3倍に増加し、ガンの侵攻性(増殖の速さ)が強まり、死に至る速度が2倍になっていました。 抗酸化物質の投与量が多いほど腫瘍の成長量が多くなっていました。

メカニズム

抗酸化物質がフリーラジカルによるガン細胞のDNAへの損傷を抑止することにより、p53 というタンパク質の放出を抑制していました。 p53 は腫瘍を抑制する作用のあるタンパク質で、人体が細胞のDNAの損傷(ガンの原因となる)を探知したときに放出します。

コメント
研究者は次のように述べています:

「抗酸化物質はDNAの損傷を軽減しますが、皮肉にもそれによってガン細胞が探知を免れるのです」

「抗酸化物質は、フリー・ラジカルと呼ばれる分子によるDNAの損傷を防いで、体をガンから守ってくれるはずなのですが、ガン性あるいは前ガン性の細胞がすでに存在している人では逆効果になるようです」

「肺ガンの人あるいは肺ガンになるリスクが高い人にとっては、抗酸化物質のサプリメントが有害に作用して腫瘍の成長が早まる可能性があります」
抗酸化物質のサプリメントは人体に適さない?

米国ガン学会によると、抗酸化物質がガン患者に逆効果になることを示した研究は今回のものが初めてではありません。 1980~1990年代に行われた複数の臨床試験で、βカロチン、ビタミンA、およびビタミンEによって喫煙者における肺ガンのリスクが相当に増加するという結果になっているのです。

抗酸化物質は人体においても生産されています。 そして、食事に含まれる抗酸化物質も利用するように出来ています。 しかし、抗酸化物質サプリメントの服用は人体にとって計算外なのかもしれません。

研究者は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者への抗酸化物質の影響も懸念しています。 COPD患者の呼吸を改善する目的でアセチルシステインが用いられているためです。

留意点

研究グループは、今回の結果が肺ガンの場合だけに限られるのか、他の種類のガンにも適用されるのかは現時点では不明であり、ガンの種類によっては抗酸化物質によって予防できる可能性も残っていると述べています。

また、この研究に関与していない専門かも「この研究だけでは結論を出すには不十分だ」と述べています。