ビタミンEと変形性関節症(レビュー)

(2018年9月) マレーシア国民大学の研究グループが、食事やサプリメントなどで摂取するビタミンEの変形性関節症(骨関節炎)の予防や治療への利用についてまとめたレビューを "Frontiers in Pharmacology" 誌に発表しています。

変形性関節症とビタミンE

変形性関節症は、関節の軟骨組織が変質したり軟骨細胞にアポトーシス(プログラム細胞死)が生じたりするという病気です。

変形性関節症の既存の薬物治療は、痛みなどの症状の緩和を主目的とするものであり、軟骨組織の変質に対処しようとするものではありません。

そこで研究グループが注目するのがビタミンEです。 変形性関節症における関節の変質を引き起こすメカニズムとして考えられるものは多数あり、そのうちの1つが酸化ストレスですが、ビタミンEには抗酸化効果と抗炎症効果があるため(酸化ストレスの軽減を介して)変形性関節症の予防や治療に効果を発揮することが期待されます。

これまでの研究

今回のレビューでは、ビタミンEの変形性関節症への効果を調べた様々な研究に目を通しました。 その結果を要約すると次のようになります:
  1. 細胞実験で、機械的ストレス(物と物がぶつかるような刺激)やフリーラジカルにより軟骨組織や軟骨細胞に生じた酸化ストレスがビタミンEにより軽減されることが示されている。
  2. 動物実験でも、ビタミンEの投与が変形性関節症における軟骨組織の変性の予防や酸化ストレスの程度の改善に効果のあることが示されている。
  3. 変形性関節症の患者は健常者に比べて、血中や滑液中(1)のビタミンE濃度が低い。
  4. 観察研究で、ビタミンEと変形性関節症の発症(induction)や進行との間に関係のあることが示されている。
  5. ビタミンEのサプリメントで変形性関節症の予後が改善される可能性があるが、ビタミンEやビタミンCの血中濃度が高いと変形性関節症のリスクが高いという結果になった研究もある。 ビタミンEサプリメントの取り過ぎには要注意。
  6. ビタミンEの種類(2)によって変形性関節症に対する効果が異なる可能性がある。

(1)「滑液」は関節腔を満たす液体。

(2) ビタミンEには8種類(α・β・δ・γトコフェロールとα・β・δ・γトコトリエノール)が存在する。

結論

上記に基づき研究グループは次のように結論づけています:
「ビタミンEは、関節における酸化ストレスと炎症を緩和することによって、変形性関節症の進行を遅らせる効果を発揮する可能性がある。 ただし、今後の研究でビタミンEの変形性関節症に対する効果をもっと調べる必要がある」