語彙が豊富だと軽度認知障害になり難い?

(2014年10月) "Anales de Psicologia" に掲載されたサンティアゴ・デ・コンポステラ大学(スペイン)の研究によると、語彙が豊富な人は軽度認知障害(MCI)になり難いかもしれません。

研究の概要

50才以上の被験者326人(軽度認知障害の患者104人と健常者222人)を対象に、語彙の量を測定し、学歴・職業・読書習慣などに関するアンケートと語彙のテストなど様々なテストを実施したところ、語彙力が低いグループで軽度認知障害である率が高いという結果でした。

この結果から研究チームは「語彙が豊富な人は認知障害になり難い可能性がある」と結論付けています。

研究者は次のように述べています:
「語彙力に着目したのは、語彙が結晶性知能(勉強・仕事・社会生活により得た技能や知識を活用する能力)の程度を示す指標であると考えられるためです。 今回の研究は、結晶性知能と認知的予備力(後述)との関係についての理解を深めることを目的として行いました」
認知的予備力とは

同じように脳に病変が生じている人の間でも、認知症の症状が出る人と出ない人がいます。 その理由として考えられているのが「予備力(reserve)」です。

予備力が生じる理由としては、そもそもの脳のキャパシティーが大きい(脳のサイズが大きい、神経細胞の数が多いなど)という脳の構造に由来するハードウェア的なものと、脳のリソースの利用が効率的(損なわれた脳機能を上手に活用して認知機能に支障が出ないようにしている)であるというソフトウェア的なものが考えられています。

そして、前者のハードウェア的な予備力を脳的予備力(brain reserve)と呼び、後者のソフトウェア的な予備力を認知的予備力(cognitive reserve)と呼びます。
「認知的予備力」は辞書に載っていましたが、「脳的予備力」は自作の訳語です。
認知的予備力を直接的に測定することは出来ないため、今回の研究チームは語彙力を尺度として認知的予備力を間接的に把握することを狙いました。