立ちつくすだけで歩かない仕事は座りっぱなしの仕事よりも体に悪い

(2016年7月) "Preventive Medicine" 誌に掲載された大阪大学などの研究で、立って歩き回る仕事は座って行う仕事よりも心血管疾患(心臓病や脳卒中)で死ぬリスクが低いが、同じように立って行う仕事であっても歩き回らずに一箇所で立ち続ける仕事の場合には、座って行う仕事よりも心血管疾患で死ぬリスクが高くなるという結果になりました。

研究の方法
心血管疾患やガンの病歴が無い40~79才の男女6万6千人超を20年間ほど追跡調査したデータを分析しました。 仕事のタイプは次の4つに分類されました:
  1. 勤務時間の大部分を座って過ごす仕事(座る仕事)
  2. 座ったり立ったりして勤務時間を過ごす仕事
  3. 勤務時間の大部分を立って過ごす仕事(立つ仕事)
  4. 立ったり歩いたりして勤務時間を過ごす仕事(歩く仕事)(*)
(*) 勤務時間中歩きっぱなしの仕事が無いので、立ったり歩いたりする仕事が「勤務時間の大部分を歩いて過ごす仕事」ということになるのでしょう。
結果

追跡期間中に死亡した人数は3千7百人ほどでした。

座る仕事 vs. 歩く仕事
座る仕事と歩く仕事とで比較したところ、心血管疾患により死亡するリスクに違いは見られませんでした。 ただし、過体重(*)の人のデータに限って、座る仕事と歩く仕事とで比較すると、歩く仕事に就いている人のほうが心血管疾患死亡リスクが20%低いという結果になりました。
(*) 軽度の肥満。 BMIが25以上30未満。
座る仕事 vs. 立つ仕事
座る仕事と立つ仕事とで比較したところ、立つ仕事に就いている人のほうが心血管疾患で死亡するリスクが20%高くなっていました。 このリスクの増加は過体重の人と運動不足(*)の人で顕著でした。
(*) 1週間あたりの運動時間が150分間未満。 この150分間/週というのは、国際的に推奨されている運動時間です。
「立って過ごす時間」と「歩いて過ごす時間」

運動をしていても座っている時間が長いと不健康だという研究が多数発表されていますが、これらの研究では「立って過ごす時間」と「歩いて過ごす時間」の区別が明確にはなされていませんでした。 「座って過ごす時間」と「座らずに過ごす時間」という区別の仕方であって、「座らずに過ごす時間」をさらに「立って過ごす時間」と「歩いて過ごす時間」とに区別することはしていなかったのです。

そういう意味で今回の研究は痒いところに手が届いた研究ではないでしょうか。 今回の結果からすると、「座っている時間が長いと不健康」というより「歩かずに過ごす時間が長いと不健康」と言うべきなのかもしれませんね。