水の硬度が高い家庭では乳児がアトピー性皮膚炎になりやすい

(2016年5月) "Journal of Allergy and Clinical Immunology" に掲載されたキングズカレッジ・ロンドンの研究によると、家庭で使用する水が硬水(硬度が高い水)であると乳児がアトピー性皮膚炎になるリスクが増加する可能性があります。

これまでに英国・スペイン・日本で行われた研究により、家庭で使用する水の硬度と小学生にアトピー性皮膚炎が生じるリスクとの関係が示されていますが、乳児のアトピー性皮膚炎と水の硬度との関係を調べた研究は今回のものが初めてです。

研究の方法
英国に住む生後3ヶ月の乳児 1,300人を対象に、以下を調査しました:
  • 家庭で使用されている水の硬度(炭酸カルシウムの濃度)と塩素濃度
  • 軟水器(*)・保湿剤・シャンプー・石鹸の使用状況
  • 入浴の頻度
  • アトピー性皮膚炎の有無
  • 皮膚のバリア機能(†)
  • 皮膚のバリア機能に関わる遺伝子変異

    (*) 水の硬度を下げる道具。 逆浸透膜・イオン交換樹脂・蒸留などの方法によって水に含まれるミネラル分を除去することで、硬度が低い軟水を作ることができます。

    (†) 皮膚のバリア機能が損なわれると、アレルギーの原因となる物質が皮膚に侵入するためにアレルギーが生じやすい体質になると考えられています。
結果

硬水の地域に住んでいる乳児は、アトピー性皮膚炎になるリスクが87%増加していました。 この数字は、使用している水の塩素濃度を考慮した後のものです。

硬水がアトピー性皮膚炎のリスクに及ぼす影響は、皮膚のバリア機能に関わる遺伝子(FLG遺伝子)が変異体である乳児で強くなる傾向にありました(ただし、この傾向は統計学的に有意ではなかった)。

解説

硬水によりアトピー性皮膚炎のリスクが増加する理由はまだわかっていません。 水の硬度を引き上げる炭酸カルシウムが直接的にアトピー性皮膚炎のリスクを増加させているのかもしれませんし、水の硬度がpHを介して間接的にアトピー性皮膚炎のリスクに影響しているのかもしれません。

水の硬度が水道水に含まれる塩素などの化学物質に作用してアトピー性皮膚炎のリスクを増加させている可能性や、肌に住む微生物が関与している可能性も考えられます。