水を飲むだけで痩せるかも

水を飲むだけでダイエット効果?

(2013年7月) "American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたシャリテ大学医療センター(ドイツ)のレビュー(過去に行われた複数の研究結果の分析)によると、水を大量に飲むことでダイエット効果が生じる可能性があります。

概要

このメタ・アナリシスで調査した11の研究のうち、3つの研究で水分摂取量を増やすのがダイエットに役立つことが示されていました。

これら3つの研究では、食前に水を2杯飲むことで食前に水を飲まないグループよりも4ポンド(1.8キロ程度)余計に体重が減少する、あるいはダイエット中に飲水量を増やすと体重が落ちやすくなるという結果になっています。

水誘導熱産生

しかし、水を飲む量を増やすことで体重が落ちやすくなる理由は明らかになっていません。 単に水を飲むことで空腹感がまぎれるだけという可能性が高いのですが、そうでない可能性もあります。 この「そうでない可能性」というのは、水誘導熱産生(water-induced thermogenesis)という説です。

水誘導熱産生説とは、「水を飲むだけで体のエネルギー消費が増加する」という説ですが、この説はあまり研究がなされておらず、研究によって結果もまちまちです。 水分を多く摂る人がスリムだという結果になった研究ばかりではなく、肥満の人のほうが水分摂取量が多いという結果になった研究もあります(逆に、この結果を否定する結果になった研究もあります)。

以下に、「水誘導熱産生」がダイエットに有効であるとする研究と、そうでないとする研究を1つずつ紹介しておきます:

水誘導熱産生がダイエットに有効であるとする研究

シャリテ大学医療センターが 2003年に "The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism" に発表した研究では、水誘導熱産生がダイエットに有効であるという結果になっています。

研究の概要
普通体重の男女7人ずつに500mlの水を飲ませたところ、飲水によって代謝率が30%増加しました。 代謝率の増加は飲水10分後から始まり、30~40分で最高潮に達しました。

熱生産反応の総量は100キロジュールで、熱生産効果の約40%が(飲んだ)水の水温を22℃から37℃に押し上げることに由来していました。 代謝率の増加の燃料源となったのが、男性では主に脂質であったのに対して、女性では主に炭水化物でした。

水によるエネルギー消費増加は、全身におけるβアドレナリン受容体(adrenoreceptor)の遮断により減衰していました。 したがって1日あたり2リットルの水を飲むと、エネルギー消費が400キロジュールほど増加すると考えられます。

2Lの水で減る脂肪の量

1ジュールが 0.2389 カロリーなので、400キロジュールは、0.2389×400=95.56キロカロリーということになります。

ヒトの摂取カロリーの目安は1日あたり2千キロカロリー前後、100キロカロリーを消費するのに必要な運動は10分間のジョギングまたは水泳、脂肪1グラムを落とすのに必要は消費カロリーは7キロカロリーです。

つまり、水を2リットル飲むだけで脂肪が10グラム以上も落ちるというわけでしょうか?

水誘導熱産生がダイエットに有効ではないとする研究

2006年に "The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism" に掲載されたフリブール大学(スイス)によるの研究では、水誘導熱産生がダイエットに有効ではないという結果になっています。

方法

被験者たちに体重1キロ当たり7.5ml(最大で518ml)の蒸留水・濃度0.9%の食塩水・濃度7%の砂糖水を、それぞれ異なる日に飲んでもらい、各種の水を飲む30分前および飲んでから90分後に熱量測定を行ました。

結果

蒸留水と食塩水ではエネルギー消費量は増加しておらず、砂糖水でのみ有意に増加していました。 ただし、3℃にまで冷やした冷水の場合には、エネルギー消費が1時間にわたって4.5%増加していました。

解説

室温と同じ温度の水を飲んでも熱産生効果は無く、水を冷やして飲んだ場合にのみ僅かに熱産生効果を得られるということになります。 ただし、冷水を飲んだ場合に得られる熱産生効果にしても、冷水を体温と同じ温度にまで温めるのに理論上必要とされるエネルギー消費量には遠く及びません。

以上から、こちらの研究では、肥満者の体重管理に水を用いた熱産生は有効ではないと結論付けられています。 この研究の被験者は「健康な若者」とだけ記載されていますが、肥満者だったのでしょう。