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水タバコも健康に有害

水タバコとは

水タバコとは、タバコの煙を水の入った容器を通過させてから吸うという喫煙方法のことです参考画像。 水タバコでは「シーシャ」と呼ばれるタバコの葉を使います。 シーシャとは、タバコの葉を糖蜜・蜂蜜・アルコール・香料・チョコレートなどと混ぜ合わせたものです。

水タバコの煙は水を通過するためにひんやりとしていて吸いやすく、さらに香料などによるフレーバーが効いているので、一度にたくさんの煙を吸い込んでしまいます。 そのため水タバコの吸入1回分が、紙巻タバコ一本分(500mlほど)ほどにもなることがあります。

水タバコにも含まれる有害物質

水タバコでは煙を水に通すため普通の紙巻タバコに比べて水タバコが無害に思えますが、有害成分の割合が異なるだけで水タバコも健康にとって有害です。

水タバコと紙巻タバコで有害性の種類が異なるのは、水タバコではタバコの葉以外にフレーバーの元となる混ぜ物をするからだと考えられます。

ニコチン
  • 米国立衛生研究所(NIH)の研究によると、水タバコの1度のセッションで喫煙者が吸入するニコチンの量は紙巻タバコ1本の1.7倍です。
  • "Public Health Reports"(2016年1月)に掲載されたピッツバーグ大学の研究(*)によると、紙巻タバコ1本に比べて1セッションの水タバコは発生するニコチンの量が2.5倍です。
    (*) メタ分析で17の研究のデータを調査した。
  • カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究(*)によると、血中ニコチン濃度は紙巻タバコを吸ったときの約半分です。
    (*) 1日あたりの平均喫煙量は水タバコが3回分、紙巻タバコが11本というものでした。
タール
  • 上述のNIHの研究によると、水タバコの一度のセッションで喫煙者が吸入するタールの量は紙巻タバコ1本の46.4倍です。
  • 上述のピッツバーグ大学のメタ分析によると、紙巻タバコ1本に比べて1セッションの水タバコは、発生するタールの量が25倍です。
タールとは、タバコの煙から水分とニコチンを除いた残りの成分のことです。 したがってタールには様々な化学物質が含まれており、その中には数百種類の発がん性物質も含まれています。
一酸化炭素
  • 上述のNIHの研究によると、水タバコの一度のセッションで喫煙者が吸入する一酸化炭素の量は紙巻タバコ1本の6.5倍です。
  • 上述のピッツバーグ大学のメタ分析によると、紙巻タバコ1本に比べて1セッションの水タバコは一酸化炭素の発生量が10倍です。
  • 上述のカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究では、呼気に含まれる一酸化炭素の量が紙巻タバコを吸ったときの2.5倍以上であるという結果になっています。
一酸化炭素は、心血管や肺の疾患のある人において、心臓発作・脳卒中・突然死などの急性的なイベントのリスクを増加させます。
その他
  • 上述のピッツバーグ大学によるメタ分析によると、紙巻タバコ1本に比べて1セッションの水タバコはの発生量が125倍です。
  • 上述のカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究によると、尿から検出されるベンゼンの代謝物が紙巻タバコを吸ったときの2倍です。
    ベンゼンはコールタールに由来する物質で、白血病の原因となります。
  • 2013年の米国化学学会で発表されたシンシナティ大学の研究によると、水タバコの煙に含まれているヒ素・鉛・カドミウム・クロミウムといった重金属の量は普通の紙タバコほどではありません。

    ただしそれは水タバコにおいて煙が水を通過するために重金属が減るからではなく、水タバコのシーシャに使われる混ぜ物のためにタバコの葉の使用量が紙巻タバコよりも少ないためだと考えられます。 "BMC Public Health" 誌(2015年2月)に掲載された研究によると、水タバコの煙が水を通り抜けることによって除去される重金属は全体のわずか3%でしかありません。
    タバコも他の植物と同様に、土壌中に含まれている重金属を吸収・蓄積します。 重金属はガンなどの原因になります。
水タバコと紙巻タバコの有害性の比較

上述のピッツバーグ大学の研究チームによると、紙巻タバコの喫煙量が一般的には1日に20本程度までであるのに対して、水タバコの喫煙量は一般的に1日に2~3回までです。

そこで、水タバコ1セッションで得られる満足感が紙巻タバコ10本に相当すると控え目に仮定して上述の3つの研究の数字を一定の基準で揃えると、水タバコを使用したときに発生あるいは喫煙者が吸入する有害物質の量は紙巻タバコに比べて、およそ次のようになります:
  • ニコチン: 13.5~25%
  • ベンゼン: 50%
  • 一酸化炭素: 65~100%
  • タール: 250~460%
つまり紙巻タバコに比べて水タバコは、ニコチンの量は1/4以下、ベンゼンの量は半分、一酸化炭素の量は少し少ないか同じ程度、タールの量は2.5~4.6倍だというわけです。
結論
したがって、紙巻タバコと水タバコを同じように吸った場合同士で比較した時の健康への有害性は、次のようになります:
  1. ニコチン: 水タバコの方が有害性が遥かにマシ。
  2. ベンゼン: 水タバコの方が有害性が少ない。
  3. 一酸化炭素: 水タバコの方が少しマシ。
  4. タール: 水タバコの方が有害。
タバコの依存性はニコチンによるものですから、水タバコは紙巻タバコに比べてニコチン依存症(ニコチン中毒)になりにくいとは言えるのかもしれません。
心肺への悪影響
心臓発作のリスク増加

"JRSM Open" に掲載されたロンドン大学の研究によると、水タバコを吸った直後に、心拍数・中間血圧・(呼気中の)一酸化炭素量が有意に増加します。 これらの増加は心臓疾患の原因になりかねず、そして心臓疾患は心臓発作の原因になりかねません。

気道と肺への悪影響
"American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine"(2016年4月)に掲載された研究によると、水タバコの使用量が少量(*)であっても気道の上皮細胞表面に明確な異常が生じ、肺機能も低下します。 そして、非喫煙者にくらべて咳や痰が増えます。
(*) 1週間あたりの喫煙量が3セッションほどで、水タバコの喫煙歴は5年未満。
電熱器の使用で有害性が増加

米国化学会で 2017年に発表されたシンシナティ大学の研究では細胞実験により、シーシャを加熱するのに従来の炭ではなく電熱器を用いると肺の細胞への有害性が著しく増加することが示されています。

炭には重金属などの有害物質が含まれているので、この結果は研究者にとっても意外だったのですが、このような結果になった理由として研究者は、炭よりも電熱器のほうが温度が高くなるために多環芳香族炭化水素などのVOC(揮発性有機物質)の発生量が増えたのではないかと考えています。 VOCには発ガン性があります。

水タバコでも受動喫煙の被害
水タバコでも受動喫煙の被害が生じることが複数の研究で示されています。 フッカ・バー(水タバコを吸う店)の店内の空気から一酸化炭素やニコチンなどが検出されたり、水タバコ喫煙の現場にいた非喫煙者の体内からベンゼン(の代謝物)が検出されたりしています。