(2017年8月) "Psychoneuroendocrinology" 誌に掲載されたハイデルベルク大学(ドイツ)の研究によると、禁酒中に飲酒したくなったときには水を飲むと飲酒を我慢しやすくなるかもしれません。
研究の方法
アルコール依存症で入院している男性患者23人を2つのグループに分けて、両方のグループの目前にお酒を出して鑑賞させたり匂いを嗅がせて飲酒欲が高まったところで、一方のグループにのみ大量(1リットル)のミネラル・ウォーターを10分以内に飲み干してもらいました。
そして、その後2時間のうちに両グループの飲酒欲と血中のグレリン濃度(*)を繰り返し計測しました。
(*) グレリンは胃から分泌されるホルモンです。 グレリンは食欲だけでなく飲酒欲も増進させると考えられています。
結果
大量のミネラル・ウォーターを飲んだグループ飲まなかったグループに比べて、グレリンの血中濃度が下がっており、それに伴って飲酒欲も低下していました。
解説
グレリンはお腹が膨れると分泌量が低下します。 大量に水を飲んでお腹がふくれたためにグレリンの分泌量が減り、そのおかげで飲酒欲が低減されたのだと考えられます。
水でお腹一杯にしなくても
チョコレートにグレリンの分泌を抑制する効果が期待できます(お腹がふくれなくてもグレリンが抑制される)。 チョコレートの匂いを嗅ぐだけでグレリンが抑制されたという話もあるほどです。
食物繊維が腸内細菌により分解されて生じるSCFA(*)にもグレリンの分泌を抑制する効果があるようです。 SCFAはセルロースやフラクトオリゴ糖やペクチンなどからも作られますが、SCFAの材料として有名なのはイヌリンです。 イヌリンは玉ネギやゴボウに豊富に含まれています。
(*) 短鎖脂肪酸。 プロピオン酸塩・酢酸塩・ブチル酸塩など。