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大腸ガンのリスクが増える食生活とリスクが減る食生活

(2017年3月) ハーバード大学などの研究チームが食生活と大腸ガンになるリスクとの関係を調べた結果が "Gastroenterology" 誌に掲載されています。

研究の方法

13万人7千人の米国人男女の食生活を調べたのち32年間にわたり大腸ガン(直腸ガンと結腸ガン)の発生状況を追跡調査しました。

結果

追跡期間中に3千件超の大腸ガンが発生しました。 このうち近位結腸のガンは 1,264件、遠位結腸のガンは866件、直腸のガンは670件でした。

欧米型の食生活
大腸ガン全体では、食生活が欧米のものに最も近かったグループは最も遠かったグループに比べて(*)、大腸ガンになるリスクが31%高くなっていました。
(*) 食生活がどれだけ欧米的であるかに応じて、データを4つのグループに分割した。

大腸ガンの種類別に見ると、この数字は遠位結腸ガンで55%、直腸ガンで35%というものでした。 近位結腸ガンのリスクと欧米型の食生活との関係は統計学的に有意ではありませんでした。

健康的な食生活
普段の食生活がプルーデント・ダイエット(*)と呼ばれる健康的な食生活に最も近かったグループは最も遠かったグループに比べて、大腸ガン全体のリスクが14%低くなっていました。 このプルーデント・ダイエットと大腸ガンのリスクとの関係は、女性よりも男性で明確でした。
(*) 今回の研究におけるプルーデント・ダイエットの定義は不明ですが、一般的には野菜・果物・全粒穀物・豆類・ナッツ類・魚・低脂肪の乳製品を多く食べ、加工食品・赤身肉・糖類・卵・バターをあまり食べないようにするというのがプルーデント・ダイエットです。 メディテラネアン・ダイエットとほとんど同じです。
食生活と大腸ガンと腸内細菌
これまでの研究と今回の研究

今回の結果は、これまでの関連研究の結果と合致します。

欧米型の食生活の特徴は赤身肉・脂肪分・炭水化物の摂取量が多いことですが、これまでの研究でも、これらが多い食事により大腸ガンのリスクが増加することが示されています。 加工食品に使用される食品添加物の一種である乳化剤により大腸ガンのリスクが増加するという話もあります。
昨日 "Cancer Science" 誌に発表されたばかりの日本の研究(岐阜大学などが行った)でも、赤身肉などの肉類の摂取量が多い男性は大腸ガンになるリスクが40%ほど高いという結果になっています。ただし、女性では肉類の摂取量と大腸ガンのリスクに関係が見られませんでした。

一方、プルーデント・ダイエットの主な特徴の1つは野菜・果物・豆類といった植物性食品や魚の摂取量が多いことですが、これまでの研究でも植物性食品や魚の摂取量が多い人が大腸ガンになりにくいことが示されています。

腸内細菌が重要

そして、こうした食生活と大腸ガンのリスクとの関係には腸内細菌が深く関わっています:

  • 乳化剤にしても高炭水化物の食事にしても高脂肪の食事にしても、腸内細菌を介して大腸の健康に悪影響を及ぼします。
  • 野菜・果物には食物繊維が豊富に含まれていますが、この食物繊維と大腸ガンの関係にも腸内細菌が関与しています。 有益な腸内細菌の働きによって、食物繊維から大腸のガンを抑制する物質が作られます。

    "Journal of the National Cancer Institute"(2013年)に掲載された研究では、大腸ガン患者の腸内には、この有益な腸内細菌が少なく、逆に腸の炎症に関与するタイプの腸内細菌が多いことが示されています。

  • 複数の研究で、炎症を促進する食生活により大腸ガンのリスクが増加することや、魚の油の成分であるオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)に炎症を軽減する効果があることが示されていますが、このオメガ3脂肪酸が炎症を軽減する効果を発揮するのに特定の腸内細菌が必要であることがマウス実験で示されています。
腸内細菌の状態を改善するには

腸内細菌の種類構成は食生活に応じて変化します。 例えば、植物性食品を食べる量を増やすと食物繊維をエサとする有益な腸内細菌が増えますし、魚を食べる量を増やすと魚油を好む有益な腸内細菌が増えることが期待できます。

2015年に "Nature Communications" 誌に掲載された研究では、食生活を改善してから2週間ほどで腸内細菌の種類構成が好ましい方向に変化して、腸内の健康状態が改善され、大腸ガンのリスクも低下するという結果になっています。