閲覧以外で当サイトのコンテンツを利用する場合には必ず引用・転載・ネタ探しをするときのルールに目を通してください。

全粒穀物で腸内環境が改善される。 免疫機能にもほのかに良い影響が

(2017年2月) "American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたタフツ大学の研究で、全粒穀物を豊富に含む食事により腸内細菌の種類構成と一部の免疫応答が改善するという結果になりました。

全粒穀物を食べることが多い人は心臓病・2型糖尿病・一部のガンになることが少ないというデータがあります。 そこで研究チームは、全粒穀物が炎症を低減することによってのこのような効果を生み出しているのではないかと考え今回の研究を行いました。

研究の方法

全粒穀物と精製穀物とで免疫応答・炎症応答・腸内細菌・便通にどのような差が出るかを調べることを目的とする臨床試験を行いました。

試験では40~65才の健康な成人81人を2つのグループに分けて、一方のグループ(41人)には全粒穀物を、そしてもう一方のグループには精製穀物を、それぞれ6週間にわたり食べ続けてもらいました。

両グループの食事は研究チームが用意したもので、穀物以外の面(カロリー・脂肪分・タンパク質・果物・野菜の摂取量)に関しては違いがありませんでした。 食事に含まれるカロリーは、それまでの体重を維持する程度のものでした。
これまでの類似研究の多くでは、全粒穀物を使用した食事のカロリーが控えめで体重も減るようになっていたため、全粒穀物を使用した食事を食べて炎症が緩和されても、それが全粒穀物に含まれる食物繊維のお陰なのか体重が減ったお陰なのかが判別できませんでした。
結果
腸内細菌

全粒穀物を食べたグループでは、ラクノスピラ属の腸内細菌が増えていました。 この腸内細菌は、腸内で短鎖脂肪酸の一種である酪酸塩を生産します。 酪酸塩には結腸の炎症と発ガンを抑制する作用があります。

全粒穀物を食べたグループではさらに、炎症を促進する作用を持つエンテロバクテリアセエ科の腸内細菌が減っていました。 全粒穀物を食べることによって体内で作られる酢酸塩(*)が増えて、エンテロバクテリアセエ科の腸内細菌の生育にとって不利な腸内環境になるからではないかと考えられます。
(*) 酢酸塩(さくさんえん)は酪酸塩(らくさんえん)と同じく短鎖脂肪酸の一種。 腸内細菌のなかに、食物繊維から酢酸塩を作り出すタイプのものがいる。 全粒穀物には食物繊維が大量に含まれている。 酢酸塩などの短鎖脂肪酸は、血圧を下げる効果食欲を抑える効果も期待されている。
免疫応答

血液検査を行ったところ、全粒穀物を食べたグループにはメモリーT細胞が多く、精製穀物を食べたグループはTNF(腫瘍壊死因子)の一種であるTNFαが少ないという結果でした。 メモリーT細胞とTNFαはいずれも、量が多いほうが免疫機能が健康であるとみなされます。

ただし、メモリーT細胞にしてもTNFαにしても、両グループ間の差はさほどのものではありませんでした。 また、メモリーT細胞とTNFα以外の炎症性サイトカインの量には、両グループで違いが見られませんでした。