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妊娠中に喫煙していた母親から生まれた人は老化が速い?

(2016年3月) "The FASEB Journal" に掲載されたケンブリッジ大学の研究(ネズミの実験)で、妊娠中の母ネズミの生活環境が胎児の生後の老化速度に影響することが明らかになりました。

妊娠中に抗酸化物質を与えられた母ネズミから生まれた仔ネズミは成体になってからの老化が遅かった一方で、妊娠中に胎内が低酸素状態であった(*)母ネズミから生まれた仔ネズミは成体になってからの老化が速かったのです。
(*) ヒトで言うと妊娠中に喫煙するのに相当する。
研究の方法
妊娠中の母マウスを、普通の環境または低酸素環境(*)で、抗酸化物質を与えたり与えなかったりして(つまり4つのグループに分けた)飼育しました。 そして生まれて成体になった仔マウスのテロメアの長さと血管を調べました。
(*) 酸素濃度が7%低い環境。 ヒトでは妊婦が喫煙する場合や妊娠高血圧腎症が生じた場合に胎内が低酸素となります。
結果

低酸素環境で飼育された母ネズミから生まれた仔ネズミは、普通の環境で飼育された母ネズミから生まれた仔ネズミに比べて成体になった時点でテロメアが短く、血管内皮にも問題が生じていました。 血管内皮に生じる問題は、老化の兆候であると同時に心臓疾患のリスクが早々に高まっていることの証でもあります。

ただし低酸素環境で飼育された母ネズミであっても、抗酸化物質のサプリメントを投与された場合には仔ネズミが心臓疾患を起こすリスクは(低酸素環境で飼育され抗酸化物質を与えられなかった母ネズミから生まれた仔ネズミに比べて)下がっていました。

さらに、普通の環境で抗酸化物質を与えられて飼育された母ネズミから生まれた仔ネズミは、(普通の環境で)抗酸化物質を与えられずに飼育された母ネズミから生まれた仔ネズミよりもテロメアが長くなっていました。

コメント
研究者は次のように述べています:
「喫煙・肥満・運動不足などの環境的なリスク要因が遺伝子に影響して心臓疾患のリスクを増加させることが既に知られていますが、今回の研究によると、生後に成人してからの心血管疾患リスクにとって胎児のときの胎内環境も大切であると思われます」
別の研究者は次のように述べています:

「抗酸化物質に老化を抑制する作用のあることが知られていますが、今回の研究では妊娠中の母親に抗酸化物質を投与すると胎児の老化が遅くなることが初めて示されました」

「妊婦への抗酸化物質投与は、妊娠合併症により胎児の酸素が欠乏しているある場合に特に重要であるように見受けられます。 今回の研究は動物実験でしたが、ヒトの場合にも同じである可能性があります」
さらに別の研究者は次のように述べています:
「胎内環境が劣悪だった胎児は生後に心血管疾患(心臓病や脳卒中)のリスクが増加することが過去の研究で示されていますが、そのメカニズムはあまり分かっていませんでした。 今回の研究はネズミの実験ではありましたが、妊娠中の女性が胎児の将来の健康のために健全な生活を送ることの必要性が示されました」