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心の持ち方ひとつで怪我の治りを早めることができる。 しかし人の心は思いのままにならぬもの

(2017年5月) "Brain, Behaviour and Immunity" 誌に掲載されたオークランド大学などの研究によると、これまでの人生の辛い出来事を克明に思い起こし、それを赤裸々な文章を綴ると傷の治りが早まりますが、都合が悪いことに、傷を受ける前に赤裸々な文章を書いておく必要があります。

研究の背景


オークランド大学の研究者

これまでの研究で、皮膚を傷つける2週間前に辛い出来事を文章化しておくと皮膚を傷つけてからの傷の治りが早いことが示されていました。

しかしながら怪我をする一定期間前に怪我をすることを予知してあらかじめ辛い出来事を赤裸々に語っておくというのは実用的ではありません。

そこで今回の研究では、怪我をしたのちに辛い出来事を文章化するのでも傷の治癒を促進する効果があるのかどうかを調べたわけですが、残念ながらやはり怪我をする前に文章化しておくほうが効果的であるという結果となりました。

研究の方法

18~55才の健康な男女122人を次の4つのグループに分けました:
  1. パンチ生検(*) で皮膚を傷つける前に、それまでの人生で辛かった出来事について自分の内面を赤裸々に語る文章を書いておく(†)グループ(赤裸々のち傷
  2. パンチ生検で皮膚を傷つけた後に、それまでの人生で辛かった出来事について自分の内面を赤裸々に語る文章を書くグループ(傷のち赤裸々
  3. パンチ生検で皮膚を傷つける前に、日々の活動を淡々とした客観的な文章に綴っておくグループ(淡々のち傷
  4. パンチ生検で皮膚を傷つけた後に、日々の活動を淡々とした客観的な文章に綴るグループ(傷のち淡々

(*) ベルトに穴を開けるための「パンチ」のようにして皮膚の組織を採取する道具だが、今回の研究では皮膚に傷をつけるための凶器として用いられた。 上腕の内側に4mmの傷をつけた。

(†) それまでの人生の中で心が傷ついたような出来事や心をひどく揺さぶられた出来事について、自分の心の奥底に封印している思考や感情を白日のもとにさらして生々しい文章にする。 これまで誰にも詳しく話したこともないほどに辛い出来事であればなお良し。

結果

パンチ生検で傷をつけてから10日後の時点において、各グループの傷が治っている人の割合は次のようなものでした:
  1. 赤裸々のち傷グループ: 52%
  2. 傷のち赤裸々グループ:27%
  3. 淡々のち傷グループ: 15%
  4. 傷のち淡々グループ: 23%

解説

研究者によると、辛かった事実を赤裸々な文章にすると精神状態が悪化したのち気分が良くなります。 赤裸々のち傷グループでは、この「気分が良くなる」時期が傷の回復期に当たるために傷が治りやすいのでしょう。

研究チームは今後、慢性的な傷(糖尿病患者などで問題となる)の回復に対する赤裸々な文章化の効果を調べる予定です。
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