メタボリック・シンドロームの改善に役立つビールの希少成分

(2016年4月) "Archives of Biochemistry and Biophysics" に掲載されたオレゴン州立大学の研究によると、ビールの原料の1つであるホップの成分の中にメタボリック・シンドロームの改善に役立ちそうなものがあります。出典: Compound From Hops Lowers Cholesterol, Blood Sugar and Weight Gain

この成分はキサントフモールという物質でフラボノイドの一種です。 今回の研究ではマウス実験において、キサントフモールにコレステロール値やインスリン値を改善する効果のあることが示されました。

研究の方法

高脂肪のエサを与えられているマウスを複数のグループに分けて、様々な用量のキサントフモールを投与しました。

結果
キサントフモールを投与されなかったグループに比べてキサントフモールの投与量が最も多かったグループでは、LDL(悪玉)コレステロール値が80%、インスリン値が42%、IL-6(*)血中濃度が78%、体重の増加度が22%少なくなっていました。
(*) 炎症の程度を示す。 炎症は2型糖尿病などを促進します。

また、キサントフモールの投与により酸素消費量と代謝率が増加しているように見受けられました。 体重増加度の減少には、これらが関係していると思われます。

メカニズム

キサントフモールは、PCSK9と呼ばれコレステロールに関与しているタンパク質の血中濃度を減らすことで、その効果を発揮しているようでした。 PCSK9が減るとLDLコレステロールが血中から排出される量が増えると考えられています。

研究の実用性
用量の問題

キサントフモールはホップだけでなくビールにも含まれていますが、今回のマウス実験におけるキサントフモールの用量は最大で60mg/体重1kg/1日というもので、この用量をヒトに当てはめると、体重70kgの人で1日あたり350mgを摂取する必要があるということになります。

そして、この350mgというキサントフモールを摂取するには、ビールを1千6百リットル以上も飲む必要があります。
キサントフモールのサプリメントも無くはないのですが、日本ではまだあまり出回っておらず価格も安くありません。
マウスとヒトの垣根の問題

キサントフモールがヒトにとってもマウスと同じように安全で効果的であることを確認する必要があります。

コメント
研究者は次のように述べています:

「キサントフモールを大量に摂取しても安全かどうかを確認する必要がありますが、他の研究では今回の研究の15~30倍の用量を用いても実験動物に問題が生じないようでした」

「今後の研究結果次第では、コストパフォーマンスに優れたメタボリック・シンドローム治療法としてキサントフモールを利用できるかもしれません」