中国で黄熱病が発生。 シマ蚊による媒介も

(2016年5月) "International Journal of Infectious Diseases" に掲載されたケープタウン大学のレポートによると、アフリカのアンゴラで流行中の黄熱病が中国にまで広がっています。 黄熱病の発生がアジアで報告されたのは今回が初めてです。

黄熱病の流行を示す世界地図

黄熱病には予防接種が非常に効果的ですが、これまで黄熱病の危険にさらされていなかった地域では黄熱病の予防接種が行われていないため、黄熱病の流行が危惧されます。

アンゴラには現在、多数の中国人が労働者として滞在していますが、その大部分が黄熱病の予防接種を受けていません。

アンゴラの状況

世界保健機構(WHO)の報告によるとアンゴラでは、2016年5月19日の時点で黄熱病への感染が疑われるケースが 2,420件(死者数298人)発生しています。 2,420件のうち黄熱病であることが検査で確認されたのは736件です。 現地を訪れたWHOの専門家の話では、実際の感染者数は 2,420件の10~50倍である恐れがあります。

黄熱病について
感染経路

黄熱病は黄熱病ウイルスを持っている蚊に刺されることで発症します。 黄熱病を媒介するのは主に熱帯シマ蚊(Aedes aegypti)ですが、日本に住むシマ蚊(Aedes albopictus)なども黄熱病を媒介します。

症状

黄熱病は、ウイルスを保有する蚊に刺されてから3~6日が経過してから発症します。 黄熱病は85%のケースが軽症で、この場合の症状は発熱・頭痛・寒気・筋肉痛・疲労感・食欲不振・吐き気・嘔吐などが3~4日間ほど続くだけです。 しかし残りの15%のケースでは、肝臓に損傷が生じて黄疸が出たり、口・眼・胃腸管から出血したりします。

黄熱病の致死率は3%ほどです。 黄熱病に感染した後に回復すると、黄熱病に対する免疫力を獲得できます。

流行

黄熱病は世界の大部分の地域において撲滅されており、欧州(ジブラルタル)でも米国(ニューオーリンズ)でも 1905年に流行したのが最後です。

歴史的には黄熱病は、船によってゆっくりと世界に広まって行きましたが、現在では飛行機により一夜のうちに予防接種が行われていない地域にまで広がります。

対策

黄熱病の効果的な対策は予防接種だけですが、世界各地に配るほどの量のワクチンは作られていません(現在の生産量は年間で4千万人分)。 黄熱病はワクチンが非常に効果的であることから、専門家は一人当たりのワクチンの用量を1/5に減らすことを提案しています。 つまり、1人分のワクチンで5人に予防接種をするというわけです。