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ダイエットのリバウンドは腸内細菌から?

(2016年5月) 太りやすさに腸内細菌の状態が関わっていることが知られていますが、コペンハーゲンで開催中の "Second Congress of the European Academy of Neurology" で発表(のちに "Obesity Facts" 誌に掲載)されたキール大学(ドイツ)の研究によると、ダイエットのリバウンド(落とした体重が元に戻ること)が腸内細菌から生じている可能性があります。 ダイエットで低カロリーの食事を続けて腸内細菌叢に有益な変化が生じても、減った体重を維持するための食生活に戻すことによって、その有益な変化まで元に戻ってしまうというのです。

腸内細菌は、食べたものからエネルギーを取り出す効率に関与して宿主(ヒトなど)の太りやすさに影響することが知られています。
研究の方法
成人肥満者18人のグループにカロリー摂取量を800kcal/日に制限した食事を3ヶ月間にわたり続けてもらい、体重・インスリン感受性・腸内細菌の状態を調べました。 その後さらに3ヶ月間にわたって、減った体重を維持する程度のカロリーを有する食事を続けてもらいました。(*)
(*) まず5週間をかけて摂取カロリーを800キロカロリー/日から 1,600キロカロリー/日へと徐々に増やしてゆき、その後はずっと 1,600キロカロリー/日を摂取した。

そしてこのグループを、カロリー制限をしなかった13人の肥満者のグループおよび非肥満者13人のグループと比較しました。

結果

カロリーを800kcalに制限した3ヶ月間が終わった時点で、カロリーを制限した肥満者のグループは、カロリー制限をしなかった肥満者のグループや非肥満者のグループに比べて腸内細菌の多様性・インスリン感受性・体重が改善されていました。

ところが、その後の3ヶ月間(減った体重を維持する食事をした期間)において、体重が平均で20kg減ってインスリン感受性も改善された状態が維持されていたにも関わらず、腸内細菌の多様性は低カロリー食により改善された状態が維持されていませんでした。

解説
今回の研究では、肥満者では低カロリー食が腸内細菌に好ましい影響をもたらすものの、低カロリー食を止めるとその変化が維持されないことが示されました。 ダイエットを終えた後しばらく経ってから体重がまた増えてしまうことがある理由の1つとして、腸内細菌叢が肥満時の状態に戻るというのがあるかもしれません。
コメント
研究者は次のように述べています:
「今回の研究では、肥満者向けのダイエット・プログラムが肥満者の腸内細菌叢に長期的な変化をもたらすのに不十分であることが示されました。 ダイエット・プログラムを実施した肥満者の多くにリバウンドが見られるのは腸内細菌叢の改善が不十分だからかもしれません」
留意点
この研究では被験者が何の薬を飲んでいたかどうかを考慮しませんでした。 薬の服用は腸内細菌叢に影響します。

抗生物質を飲むと腸内細菌が死んでしまうことや、胸焼けの薬を服用すると腸内細菌叢のバランスが崩れてしまうことが知られています。

逆に、腸内細菌が薬の効果に影響する(腸内細菌叢の違いによって効果に個人差が出る)とか、腸内細菌のお陰で薬の副作用が効果に転換されるという話もあります。