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糖尿病予防のために亜鉛の摂取量を増やすなら食事よりもサプリメント?

(2017年11月) これまでの研究によると亜鉛が糖尿病の予防に有効かもしれませんが、"Genes & Nutrition" 誌に掲載されたルンド大学(スウェーデン)の研究によると、糖尿病の予防を目的として亜鉛の摂取量を増やすのであれば食事で亜鉛の摂取量を増やすよりも亜鉛のサプリメントを飲むほうが手っ取り早いかもしれません。

研究の方法

2万6千人超の男女(38%が男性。遺伝子のデータがあったのは86%)に亜鉛と鉄の摂取量などを尋ねたのち19年間にわたり2型糖尿病の発症状況を追跡調査しました。

結果

追跡期間中に 3,676人が2型糖尿病になりました。 亜鉛の総摂取量(食事由来の亜鉛+サプリ由来の亜鉛)は中央値で11.4mg/日でした。 食事から摂取する亜鉛の量に限ると中央値で10.7mg/日でした。 亜鉛サプリメントを使用していたのは17%で、このグループの亜鉛総摂取量は中央値で22.4mgでした。

食事の亜鉛とサプリの亜鉛

亜鉛のサプリメントを服用している場合には服用していない場合に比べて、2型糖尿病になるリスクが20%ほど低下していました。

ところが亜鉛の総摂取量と2型糖尿病リスクとの間には関係が見られず、さらに食事から摂取する亜鉛に限ると、摂取量が多いほどに2型糖尿病になるリスクが増加していました。 食事由来の亜鉛の摂取量に応じて5つのグループに分けたなかで亜鉛摂取量が最低のグループに比べて、摂取量が最も多い2つのグループは摂取量の順に26%および27%のリスク増加でした。

ただしタンパク質摂取量・鉄摂取量・赤身肉摂取量なども考慮して分析すると、「食事から摂取する亜鉛が多いと2型糖尿病のリスクが増加する」という関係が消滅しました。 したがって、食事由来の亜鉛の摂取量が多い場合に糖尿病のリスクが増加するのは、亜鉛の摂取量が多くなる食生活に伴う他の要素(赤身肉や鉄)のためであると思われます。

亜鉛を豊富に含有する食品は例えば赤身肉のように鉄も豊富に含有することが多いのですが、鉄は2型糖尿病のリスク要因です。 また赤身肉は、そこに含有される鉄だけでなくTMAOの生成を介しても糖尿病のリスク要因となっている可能性があります。

肥満や遺伝子型の影響

BMIが30を超える肥満者に限り、鉄の総摂取量に対する亜鉛の総摂取量が多いほどに2型糖尿病のリスクが低いという関係が見られました。 そして、この関係は SLC30A8 遺伝子のタイプがTTまたはCTである場合に顕著でした。

SLC30A8 遺伝子について

SLC30A8 は、β細胞における亜鉛の輸送に関与して2型糖尿病のリスクに影響する遺伝子です。 SLC30A8 遺伝子にはCC・CT・TTという3つのタイプがあり、CC → CT → TTという具合に「C」が少ないタイプほど2型糖尿病になるリスクが低いと言われています。

"Diabetes" 誌(2014年)に掲載された研究では、SLC30A8 遺伝子のタイプがCCのグループはTTのグループに比べて2型糖尿病のリスク(オッズ比)が53%高く、さらに亜鉛の血中濃度が10μg/dL増えるごとの2型糖尿病リスク低下幅もTTでは-22%であるのがCTでは-17%、そしてCCでは-7%に過ぎないという結果になっています。

今回の研究では、SLC30A8 遺伝子のタイプがCCのグループ(9,621人)はCTのグループ(9,123人)やTTのグループ(2,185人)に比べて2型糖尿病のリスク(ハザード比)が16%高いけれども、亜鉛と2型糖尿病の関係に関して SLC30A8 遺伝子のタイプによる違いは見られないという結果でした。